【ドラマ】未生(ミセン) | Spinnaker's Music Clipboard

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クラシック音楽をこれからお聴きになりたい方々に向けて書き綴った「クラシック音楽ご案内」ブログです。どうぞご厚誼の程よろしくお願い致します。



Amazonプライムの見放題プログラムにどっぷりと浸りきっているスピンです (o^―^o)。

レビュー第2弾は、韓国ドラマ中、スピンの中での最高評価のドラマ『未生(ミセン)』です。


『未生(ミセン)』とは、韓国の囲碁用語で、未だ陣地として確定していない状態の石(相手に攻められる状態)の集団のことを指します。

先ずは囲碁の基本的なルールを、ご存じでない方のために簡単にご説明。

囲碁は、白黒それぞれの石を二人の対局者が持ち、縦横それぞれ19本の線が引かれた碁盤上の、線の「交点」に互いに自分の石を並べて自分の陣地を作っていき、同時に、相手の陣地を減らすために、互いに相手の陣をつぶそうと戦うゲームです。
最後に相手の陣地と自分の陣地の目の数を数えて、その多い方が勝ちとなります。

線と線の交点を「目(モク)」と呼び、それぞれの陣地は、最低2目ない場合、相手に獲られてしまいます。
それだけではなく、2目ないと、その陣地につながった全ての石も獲られてしまい、獲られた石の数だけ、既に確保した自分の陣地を埋められてしまいます。2重に痛手を負う訳です。

さて、2目以上が確定している(相手が攻める手段がない状態)石とその陣地につながっている全ての石の状態を、韓国語では 『完生(ワンセン)』 と呼び、未だ2目以上が確定していない石の状態を『未生(ミセン)』 と呼びます。


ご紹介するドラマの中では、この「未生(ミセン)」という言葉を、仕事に、組織に、役立っているかどうか判然としない中途半端な状態、本来の目的を達成できていず、又は、目標すら定められていない状態、そして、もちろん勝者にも成れていない状態、にある多くの人達のことを暗示しています。



ドラマの主人公は、幼い頃からプロ棋士となることを目指していたチャン・グレ君。

プロの棋士への昇格を判定する勝負に勝つことができず、父親がこの世を去ったことをきっかけに、棋士になる夢をあきらめ、20代中盤ながらも、自分が進むべき道を発見できず、アルバイト生活を続けている若者でした。

ある日、囲碁協会のコネで大手商社にインターンとして就職します。
が、履歴書上の学歴は高卒どまり。もちろん、就職経験も、社会経験も、語学力もなく、PCスキルすらない、チャン・グレ君は、いわゆる”落ちこぼれ”な存在と、同期仲間からさげすまれ、配属された部署の上司達からは迷惑がられる存在でありました。


しかし、徐々に、囲碁で身につけていた洞察力や集中力、周囲の環境を見ながら次の手を選ぶ判断力を発揮しながら、商社の中の営業マンとして少しずつ力を伸ばすグレ君は、少しずつ、上司や先輩社員たちに認められる存在に育っていきます。

しかし・・・・(ここから先はネタバレになりますので、見てのお楽しみですゥ❣)



時は2014年頃。

パワハラ・セクハラ・横領・着服・時間外労働などなど、何でもありのグチャグチャな企業内で育っていく若者たち。
彼らを叱咤、時折、激励しながら一人前に育てようとする先輩・上司たち。


主人公チャン・グレ君だけが「未生(ミセン)」なのではなく、先輩社員や上司達も、そして
組織自体も、未だ、「完生(ワンセン)」ではないことを暗に示しながらも、互いを助けあい
ながら成長することに懸命となる姿を描く、感動的なドラマです。


会社や組織に所属したことがある方ならば、
仲間とチームワークを育みながら目標を実現しようとしたことがある方ならば、
男女を問わず、必ずや、ドラマの中で同様の経験をする登場人物たちに共感なさり、
ご自身の体験を見直して行かれることでしょう。


予め申し上げますが、

① 韓国ドラマ的男女のロマンスは全く無しです。その点は期待なさらないでくださいネ。

② 1回が約1時間半で第20話まであります。約3年に渉る時間を描く、長ーいドラマ。
  ですが、きっとアッと言う間に、最終回まで見終わってしまわれることでしょう
   (o^―^o)。


スピン 拝