
「映画:RAGTIME(ラグ・タイム)」は、たぶんスピンが過去見た映画の中でTOPにノミネートされるもの
だと思います。 手に入りにくいですが、日本のDVD業界が何故これを日本でリリースしないのか
判らない!という理由で、ご紹介 (o^―^o)ニコ
「ラグタイム」は1981年の作品です。 DVD化はかなり遅れようやく米国にて2004年に発売されました。
日本ではVHSが1980年代当時に発売されたようですが、DVDは未だ発売されていません。
RAGとは、"ぼろ布"のこと。
第1次世界大戦に突入する直前のニューヨーク、押し寄せる移民や黒人たち、白人既成勢力・・・様々な
人達が、まるでぼろ布をバケツに突っ込んでぐちゃぐちゃとかき回しているような「混乱」の時代・・・
”RAGTIME” のなか、現在の世界の諸問題にも通ずる、哀歓溢れる人間模様を見事に描き出してくれた
一級品の名画です。
E・L・ドクトロウの同名小説に基づき、「ヘアー」のマイケル・ウェラーが脚本を執筆し、監督は、あの
ミロス・フォアマン(アマデウス)、製作 ディノ・デ・ラウレンティス、音楽はランディ・ニューマン(ヘアー)が
懐かしきラグタイムのメロディをとり入れて作曲しています。
キャストもとても素晴らしく、なかでも特に、警視総監役で特別出演したジェームズ・キャグニーが絶品!
ちなみに、キャグニーは往年のギャング映画の名優。この映画が最後でした。( )内は役柄です。
James Cagney ジェームズ・キャグニー(警視総監)
Howard E. Rollins ハワード・E・ロリンス(若き黒人ピアニスト:正義を求めてテロを起こす)
Mary Steenburgen メアリー・スティーンバージェン(花火会社社長夫人:女性解放の先達?)
James Olson ジェームズ・オルソン (花火会社社長:白人中流思想から抜けれない典型)
Brad Dourif ブラッド・ドゥーリフ (社長の実弟:黒人テロを支援)
Norman Mailer ノーマン・メイラー (ダンサーをモデルに裸体の彫像を制作した名士)
Elizabeth McGovern エリザベス・マクガヴァン(元ダンサー:少々おつむが弱い美女)
Mandy Patinkin マンディ・パティンキン (切り絵で生計を立てるユダヤ系芸術家:後、映画監督に)
Moses Gunn モーゼス・ガン(黒人社会から信望を集めていた牧師:急進的lテロの説得に失敗)
Kenneth McMillan ケネス・マクミラン(黒人蔑視の下級白人、消防士仲間のリーダー)
Pat O'Brien パット・オブライエン (Delmas)
Donald O'Connor ドナルド・オコナー(社交場でのレビュー歌手)
物語はなかなか凝っています。
マジソン・スクエア・ガーデンの踊り子(エバリン) を奥さんにした鉄鋼富豪のどら息子が、奥さんの
裸体像を劇場の天井に陳列されて名誉毀損と騒ぎ始め、沢山のゴシップに包まれている制作者である
有名建築家を殺害。 そこから始まる新興成金の名家の中での「くさいものには蓋」大騒動。
花火製造会社を経営し、郊外に瀟洒な家庭を持つまでになった中流の上クラスの家族。
その庭先に生まれたばかりの黒人の赤ん坊が捨てられていたことから始まる 大困惑。
世間体を気にするご主人と、純粋無垢な奥様との間に忍び込むすれ違い。
この家に住み、ご主人の経営する花火会社で花火デザインに才能を発揮している奥様の弟が
のめりこんでいくエバリンとの恋。
黒人居住区の専用バーで、ようやく仕事らしい仕事(バンド・ピアニスト)にありつく若い黒人。
この若く才能溢れる黒人が、夜の世界で得たお金で、当時最新のフォードの大衆車を買い求め、
それを乗り回しているのを快く思わない、中流の下に位置する街の白人消防士達の「イジメ」。
移民船でニューヨークに到着して日が浅い中、ユダヤ人街で切り紙細工で何とか生計を立て始めた
芸術家肌の男。
これらを”横糸”に、バンドマンと消防士たちのいさかいから発展する黒人テロ事件を”縦糸”にして、
それに巻き込まれて困り果てる登場人物たちが織り成す人間模様を、1900年代初頭の、ごった煮の
ようなニューヨークの情景を背景に、丹念に織り上げた作品です。
喧騒とぼろ布と埃だらけの街角・・・白人・黒人・ユダヤ・・・人種の坩堝化し始めた街のごった煮のなか、
現代のアメリカに引き継がれている、「黒人差別問題」「女性人権運動」「アメリカンドリーム」・・・
それらが、見事に織り込まれています。
そして、当時はやったラグタイム・ミュージックの切ない調べが全編を包み、今も昔も変わらない、
人々の営みを浮き彫りにしてくれるのです。
私たちの人生も「RAGTIME」のようなもの。
生きる場所を探して新天地に渡り、
生きている背景も思考も異なり、時には相容れない人達と、
好むと好まざるに関わらず、接し続けながら、
夢を追い、成功し、破綻し・・・、
時代に動かされながら、自分の道を歩もうと,うごめき続ける。
明日、何が起こるか予測もつかない、
最後の時がどのように訪れるか神のみぞ知る「ごった煮」のなか、
生きていくのです。
スピンは、この映画を30年ほど前に知り、録画していたVHSが擦り切れるほどに、こよなく愛しました。
映画を見終わったとき、なぜかしら、セザール・フランクのバイオリンソナタ イ長調が、
妙に似合うのです。
≪注≫ 書き忘れました!この映画DVDはAmazonにてギリギリ手に入ります。
版により日本語字幕版つきのものもございますので、ご注意の程お願い申し上げます。