
タイムドメイン理論というものがある。日本の由井さんという人が研究して完成させたスピーカー構造理論。
CDやレコードなどに収納されている原音を、歪めず、調整することなく「そのまま再生する」のが最大の特徴。
理屈はさておき、吃驚仰天の素晴らしい音を奏でる。しかも、高価なオーディオアンプなどは不要。
MP3プレーヤーやCDドライブに直接つなげば良い。なんとも驚きの透明且つ静かな音を紡ぎ出してくれる。
このタイムドメイン理論に惚れ込んだ友人がいる。台湾出身の人でPC周辺機器のメーカーを経営していた。
いまから10年ほど前、この人が試作機を作り、その音を聴かされた。・・・正直、ひどい音がした。
ただ、これまでのスピーカにはない、音の明瞭さがしばらく忘れられない程に際立っていた。
最近 その人から「できた!」と連絡が来たので、早速、聴きに出かけた。イヤ、大変に驚いた。
CDウォークマンから直接つなげている高さ30cm足らずのスピーカから、百万円を超えるオーディオセットを
遥かに凌駕する、きわめて澄み切った音がでてくる。事務室内の隅々に 隙間なく音楽が広がり、満ちていく。
この友人は10年間、黙々と改良を重ねたのだ。頭がさがった。
名前は?と訊くと「マーティ101」と命名したという。
そういえばなんとなくSF映画に出てくる火星人に格好が似ている。
スピーカーに珍しく筒型の塔のような格好をしているが、そういえば台北に101タワーという名前の
高層ビルがある。
どうも、真剣に命名したとは思えない。が、そんなことはどうでもいい。素晴らしい音がする。
音楽を聴く道具(スピーカーを含めたオーディオ機器)が上質であるか否かを判別するポイントとして、
「音がない時に無音であること」が非常に大切であると私は考えている。
この「Marty101」は完全な「無音」状態を再現し、且つ、ボリュームを上げてもフォルテシモになっても
全く歪まない。音質は透明にして明瞭そのもの。
なんと驚くことに、5cmのフルレンジ・ユニットしかついていない。
このユニットが高さ30cmくらいの筒の上部に無重力状態のような形で取り付けられていて、自由振動する。
たった5cmのユニットx2個しか持たないのに、然も、iPodやCDウォークマン直結で、百数十万する
オーディオセットに全く遜色のない、ひょっとしたら凌駕する「清澄・透明感溢れる、絶妙の音」を出す。
そのうえ、5.1CHのような360度の広がりを持ち、オーケストラの楽器配置が明瞭にわかる。
クラシックは勿論、ジャズ・ブルース・ポップスなんでもござれ。
オスカーピーターソンの軽妙で、粒ぞろいの暖かいピアノ。
セリーヌディオンの澄み切った、伸びやかな声とハーモニー。
バッハ・バイオリン協奏曲の通奏低音のチェンバロの見事な再現。
無伴奏チェロソナタの重厚で、指使いの細かい強弱が語りかける哀歓。
メンデルスゾーン・バイオリン協奏曲の鋭く、暖かく、揺るがないスピード感
チャイコフスキー交響曲第5番が表現するロシアの大地に響くおなかに響き渡る咆哮。
東欧の森に流れる朝霧-ブルックナー第4番の輻輳する旋律のきめ細かな再現。
あきれる・・・
言い忘れてはいけないが、このスピーカー、言葉の再現がすばらしい。
映画館で聞き取れなかった英語が、このスピーカーで聞くと明瞭に耳に届く。
語学教室や老人ホーム・介護施設でたくさん導入されていると聞く。
日本での価格は、一セット2万8千円。
このスピーカの開発に10年間を費やした台湾人の友人の執念を思うと「脱帽」するしかない。
使い方は。簡単。CDウォークマンやパソコン・iPODに直接つなげば良い。パソコンでDVDを再生して
このスピーカーにつなぐと本当に映画館の音が耐えられなくなってしまう。
音楽のために広い場所を準備できない。最も安価に上質の音を聴きたい。
それだったらお勧めのオーディオセットです。