(「なんか色々と裏や思惑がありそうですが犬としては常に臭いで探索したい」とビーグル犬まろさんオス9歳)

 

 東京都の千代田区立麹町中学校のダンス部の部活動で学校側が生徒たちのヒップホップダンスを事実上禁止するようなお達しを出したことで騒動がおきました。つまり文化祭と体育祭でこれまではヒップホップダンスを披露してきたのに、発表の場を奪いダンス部の活動を創作ダンスに変更したとのことだそうです。コーチもそれに伴って変更。

 校長としては「運動部だから中体連(日本中学校体育連盟)の大会を目指すべきなので活動内容を変更した」と主張して、保護者らはこれに反発して千代田区の教育委員会に抗議文を提出、期限を7月12日にして回答を求めるという騒ぎだそうです。

 中体連の大会の規定というのを調べてみたら自由作品で未発表とか時間の規定とか衣装は作品にふさわしいとかあるけれども取り立てて「ヒップホップはダメ」みたいな規定があるようには見えませんでした。

 そこで中体連の作品の過去の受賞作を見てみると、「テーマに沿って仮装して踊る」ようなものを期待しているようだったのですが、だったら、ヒップホップだってやりようによっては「ストリートの××」みたいなテーマで踊ったところでそれなりに受け入れられるんじゃないだろうかと思いました。ミュージカルや映画の「ウエストサイド物語」なんて、ニューヨークの非行少年グループ同士の抗争とその中のロミオとジュリエットを下敷きにした悲恋を入れた名作ですから、いわゆる純粋な踊りとしてはヒップホップのイメージに付きまとう「不良っぽさ」が一概にダメとも言えない気もします。「教育」を考えるなら「音楽として使う英語の曲の意味を英語と日本語でちゃんと理解してその上で踊れ」くらいなことは生徒に課す課題として言ってもいいのでは。歌詞が韻踏んでるとか、英語に興味持つし学力も上がるでしょうし。

 

 そもそも、この「禁止令」を出した学校側って、「創作ダンスとヒップホップダンスにダンスとしてどういう違いがあるのか?」というのを正確に理解しているんだろうかと思うのです。私は理解していないのでYoutubeで両者のダンスをよく見てみたけれども、「ヒップホップのステップは創作ダンスのステップより『不良っぽい』」なんて違いは全く分かりませんでした。そもそもがあのBTSだって元々ヒップホップのグループとして成り立って途中でコンセプト変更してアイドルグループとかいうくらいですから、色々な歌や踊りに触れることがあればヒップホップにだって知らず知らずのうちに触れているわけで。

 

 また、そもそも中学校の学習指導要領にも堂々とヒップホップもダンスとして紹介されているくらいだから、それをわざわざ「禁止です」という意味もわかりません。それを禁止するくらいなら、そもそもが学校の体育にダンスを入れ必修にしたのが変なので...コロナが蔓延して弱毒化したようにヒップホップも学校まで広まれば弱毒化したとみていいだろうと思います。

 

 禁止した学校の先生には「ヒップホップは不良のもの」という意識があるのかもしれないなとも思います。それゆえか、呂布カルマさんなんてラッパーの人は「そもそも学校でヒップホップやろうとしてんのが違う。こっそりやれ。」とか「ヒップホップは非行なので親や学校のバックアップの下にやろうとするのは大間違いです」とか「そうじゃないヒップホップも一部存在はしますが基本的には非行です。親や教師に隠れてやるものです」なんてXで投稿したのだけれども、それもまた違う気がします。この呂布さんという方、キャラ付けなのか無理して悪ぶってる感じがしないこともない。ところでヒップホップのダンスをカッコいいダンスとして学校で踊るのと学校外で「その種の人々」と触れ合って「文化」に浸るのとはかなり違うという気がするのです。「学校の部活動」という安全が確保されコントロールされた空間で安全にそのダンスの要素を学ぶということに、意味があるのだから。

 それで、「その種の人々」とは、なんとなく犯罪の匂いがするとか、妙にだらしないファッションとかですが、麻薬とか覚せい剤とか暴力とかみたいな犯罪者や、若いのに勉強もせずに徒党を組んで街をプラプラして騒ぎたがるとかがダメなのはもちろんのこと、腰パンみたいなスタイルをカッコいいと思ってやってる人の感性は信じられません。ただでさえ日本人は自分も含め黒人に比べて脚が短い人が多いのにそのうえさらに下着まで見えるくらいにズボンをずり下げて、だぶだぶの服を着てまるで着ぐるみのクマちゃんみたいな感じになって「俺、イケてる」と思ってたらアタマおかしいと思えてしまいます。今はヒップホップも腰パンは流行らないのかもしれませんが。

 

 禁止する側も「自分は何を禁止したのか」というのが本当によく理解してるのかなと疑問をちました。映画の「フラッシュダンス」だって、主人公がダンサーの学校を受験したときにバレエの素養が十分な他の受験生に混じって独特のダンスを披露して保守的で頑固そうな審査員たちを魅了し受け入れられた場面は素晴らしいものでした。頭は柔らかく。