(「色々ともののいい方は難しいようです。僕は喋らなくて目力で勝負なので関係ないですけどね」と話すビーグル犬まろさんオス9歳)

 

 今日の読売新聞を読んだら一面に「東京女子大 教員人事 寄付額を考慮」「同窓会組織へ 卒業生に要求 文科省、報告求める」という見出しが躍っていました。丁寧なことに、「就職・昇格前の寄付のイメージ」という図まで掲載されていました。27面には「金で職買ったようで...」。

 大学への就職昇格を望む卒業生は同窓会組織(至誠会)へ「活動状況報告書」を発行してもらうよう依頼し、行事出席が足りないとか寄付額が足りないとかいう理由で「ポイント」が足りない場合は足りない額に応じて寄付をおこない、修正されたポイントの報告書を発行してもらう。それをもって大学に報告書を提出する、という仕組みなのだそうです。

 

 この見出しをまず読んで思わされたのが

*東京女子医大と言うのは、教員の人事を「金」で決めるのか。酷い大学だな、大学病院もさぞや程度が低いのだろう

*東京女子医大の教員と言うのは、純粋培養で卒業生たちばかりから採用するのか。それで、金を出す額が多い卒業生が教授に就任するという仕組みなのか

*同窓会組織がやたらに寄付金をねだるという性質のものなのか。医学部志望の女子がいたとして、東京女子医大を志望するのはどうなんだろうな

 

 ところが記事をよく読んでみると、

*ポイント9点以上が「非常に良い」で10万円当たり0.5ポイント加算、「非常に良い(9点以上)」から「非常に悪い(1点以下)」まで5段階評価なのだそうでした。

*制度が決められた2018年6月から2023年3月までに延べ70人が報告書の発行申請をし、55人が至誠会に寄付、41人が申請前後に10万円~80万円を入金していたそうなのでした。

 つまり、大体5年の間に55人が寄付、大学の1学年の入学者は約100名だそうですから年平均では1割程度の話です。9割の卒業生には関係ない話。

 また金額についてもいわゆる「医学関係の不正を題材にしたドラマ」みたいなのだと100万円単位の札束が何束も飛び交う、みたいなイメージだけれどもそれとも少し違うようなのです。

 

 さらに、東京女子医大と言うのはそんなに寄付金で下駄はかせてるような卒業生ばかりを雇ってるんだろうか、と心配になったので実際に教員の出身とか調べてみると、むしろ他大学医学部出身者の男性が多いという印象を持ちました。つまり、同窓会である至誠会とは関係ない、この集金システムにそもそも関係ない人たちがほとんど(属性的にも年代的にも)のように見えるのです。

 

 もちろん、上に示したようなやり方で母校に職を得たり昇格したりした人がいたというのはとても問題で、文部科学省も「報告求める」なのかもしれません。異常がどこかにあれば問題だというのは当たり前。

 

 ではあるけれど、このある種の「金で職を買うような」おかしな手続きがどの程度の影響をこれまで大学に与えてきたのか、というのを正しく判断できるようにする報道がマスコミには必要なのではないかなと思うのです。なんだか、この新聞の報道を読むと早とちりする人たちは、「東京女子医大は教員が女性の同大学出身者ばかりで金で職を得た人たちだらけで、程度が低い大学や大学病院」という誤った印象を持ってしまうのではないかかと心配してしまいました。