ご無沙汰しております。
長らくお休みしてた、”二つの国の物語”を再開します。
この前の95のお話は、
今日から、また、よろしくお願いします。
”まろさち”
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96、、、、雅紀
しばらくは先日降った雨で、持ちこたえることができていた。
けど、10日もしないうちに、井戸も川も水が乏しくなってきてしまった。
「雅紀、また、祈祷を頼む」
父に言われなくても、もう準備はできている。
「はい、参りましょう。」
屋敷内の祭壇の前に来ると、ひざまずき、祈りを捧げた。
『どうか、水神さま、お願いいたします。
民をこれ以上、苦しめたくありません。
お願いします。雨を、雨を降らせてください』
一心に祈る。
何度、繰り返しただろう。
どれほど時間が経ったのだろう。
意識が途切れかけたころ、
ふと、気がつくと、暗闇の中で俺は一人で立っていた。
遠くの方に、小さな光が見える。
無意識なのか、俺は、その光に向かって歩きだしていた。
ここはどこなんだろう。
どうして、こんな所にいるんだろう。
疑問に思うことはあるけど、不思議と怖くはなかった。
光が漏れているのは、どこかの部屋のようだ。
遠慮がちに部屋の戸を少し開けてみた。
「雅紀、よく来たな。
ほぉ、、、驚いた。お前に生き写しじゃないか」
部屋の中から声が聞こえた。
「水神さま、、、
私に似ておりますか?
では、この雅紀も水神さまのお気に入りということでございますね」
「なんだ?
妬いておるのか?
何百年経っても、お前はかわいいのぉ」
「もう、水神さま、、、」
「あのぅ、恐れ入りますが、聞いてもよろしいでしょうか?
お二人の話しが全く理解できないのですが、、、。
水神さまって仰いましたか?」
明るい部屋の中には、人の姿はしているけど神々しいまでの光を放つ人と、俺にそっくりな人が、一つの椅子に二人で座っていた。
「そうだ、お前たち人間には、水神さまって呼ばれているな。
まぁ、この姿は仮の姿だ。気にするな。
そして、こちらにいるのが、お前の先祖のマサキだ。
山の宮の守り人だったのを俺が見初めて、ここへ連れてきた」
「雅紀、初めまして、、って言うのもおかしいかな。
私の名前もマサキっていうから、変な気持ちだよ。
偶然なのか、必然なのか、同じ名前なんだね」
「マサキさま、、、?私の先祖?
では、山の宮で祈りを捧げて雨乞いをし、その後、行方知れずになったというのは、あなた様なのですか?」
古の文献の端の端に小さく書いてあったことを思い出した。
読んだ時は、本当のことだとは思ってもいなかった。
「そうです。私です。
あの時も、水神さまのお怒りをかって、雨が降らずに大変に苦労いたしました。
私がここへ来ることで、水神さまのお怒りを鎮めておりましたけど、、、、。
今回の日照りが何故なのか、どうして水神さまがお怒りなのか、分かりますか?」
マサキさまが、綺麗な顔を歪めて、聞いてきた。