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智が、帰って行った。

 

 

また、そぉ~っと、自分の部屋に戻ると、翔が鬼の形相で待っていた。

 

 

「ま~さ~き~さ~ま~。どこへ行ってたのですか。

 まだ、身体が本調子ではないというのに、、、、」

 

「ごめん、ごめん。

 ちょっと、庭に出て散歩してたんだ。

 久しぶりに庭に出たから、ちょっと長居しちゃった」

 

「もう、心配掛けないでくださいよ。

 果物をお持ちしましたから、食べてください。

 果物の水分は身体にいい。元気になりますよ」

 

「うん、ありがと、俺、果物って大好きだよ。

 でも、翔、こんな贅沢して大丈夫なの?

 水が足りないんだから、果物も、あんまり育ってないでしょ?」

 

「今は、そんなことを考えずに食べてください。

 もし、なくなったら、もうないとちゃんとお伝えしますから」

 

 

自分だけ、こんなに食べていいのかという俺の心配を翔はちゃんと分かってくれている。

 

 

ありがとう、翔。

いつも、翔は俺のことを一番に考えてくれているよね。

 

 

なのに、俺は、、、、。

 

 

 

翔に隠し事をしている自分が嫌になるよ。

 

 

 

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また、雅紀さまが俊介のところに行っていたようだ。

 

 

何があるというのだろう。。。。

 

 

きっといつか話してくれるとは思っているけど、さみしいと思う気持ちが支配する。

 

 

 

おいしそうに食べているのを見ていると、昔の幼い頃の雅紀さまそのままだ。

 

 

いつもいつも、私の後を、”翔” ”翔” と言いながら、着いてきた雅紀さま。

幼い頃から、皆に好かれて、かわいがられていた。

 

そんな雅紀さまが私も大好きで、この方にお仕えするんだと父から言われた時は、私がお守りするんだと意気込んだものだ。

 

 

なのに、いつも間にか、私に隠し事をするようになってしまって。

 

 

 

 

 

 

 

 

雅紀さま、、、私がお側でお仕えするのは、もう必要ないということですか。。。