BBC NEWS JAPAN より
米FBI、中国支援のハッキングを阻止と報告 主要インフラが標的に
アメリカ連邦捜査局(FBI)は1月31日、中国政府が支援するハッカー組織の活動を阻止したと明らかにした。アメリカの電力網や燃料パイプラインといった公共インフラが標的にされていたという。
FBIのクリストファー・レイ長官は、中国問題に関する連邦議会・行政府委員会での報告で、ハッカー組織「Volt Typhoon(ヴォルト・タイフーン)」の活動を停止させる活動を行ったと述べた。
このグループはアメリカの資産にアクセスするため、数百台もの古いルーターなどをハッキングしていたとみられている。
中国政府は、この批判についてコメントしていない。これまでは、他国へのサイバー攻撃を国家で支援しているとの非難を否定。アメリカこそが「世界最大のハッキング帝国であり国際的サイバー泥棒」だとしている。
レイ長官は、中国は敵対的な紛争が発生した場合に備え、アメリカの主要なインフラシステムを機能不全に陥れるための土台作りを意図的に行っていたと述べた。
アメリカでは昨年5月に、ヴォルト・タイフーンによるハッキングが初めて判明した。マイクロソフトは当時、同組織が政府の電子メールアカウントを含む公共資産を標的にしていると警告した。
FBIは、同組織が下水システムや電力網、交通システム、石油・ガスパイプライン、通信網といった主要インフラを、アメリカ全土で標的にしていたと指摘した。
「混乱引き起こす」準備
レイ長官によると、ヴォルト・タイフーンは中国政府の支援を受けており、マルウェアをインストールし、インフラ資産に接続されている何百台もの古くて時代遅れのルーターを乗っ取ることに成功していた。
「ヴォルト・タイフーンのマルウェアによって、中国は重要インフラに対する作戦前の偵察やネットワーク搾取を隠すことができた」と、レイ長官は説明。ハッカーたちが「混乱を引き起こし、アメリカ市民や地域社会に実害をもたらす」準備をしていたことが明らかになったと述べた。
「中国が攻撃する時が来たと判断した場合、政治的、軍事的標的だけを狙うわけではない」
アメリカのサイバー・セキュリティーの専門家らはかねて、中国は紛争が発生した場合に通信を遮断するための基盤を築こうと、インフラを標的にしていると警告していた。
31日の委員会では委員長が、これは「アメリカの橋や発電所に爆弾を置く行為のサイバースペース版だ」だと述べた。
同委は中国政府を非難しているが、中国はサイバー犯罪に関する全ての疑惑を否定している。中国政府は同委に、「イデオロギー的な偏見と、やるかやられるかの冷戦メンタリティーを捨てるべきだ」と述べている。
しかしレイ長官は、サイバー戦争に特化した中国政府のリソースを詳細に説明。中国のハッキング計画は「他のすべての主要国の計画を合わせたものより大きい」と述べた。
また、FBIのサイバー捜査官数は中国に比べて50分の1と、数で大きく劣っていると語った。
(英語記事 FBI says China state cyber group hacked key assets)