BBC NEWS JAPAN より
米FBI、アバクロ元CEOの性的搾取疑惑で捜査 BBC報道受け
リアナ・クロックスフォード調査編集委員、BBCニュースおよびBBCパノラマ
アメリカ連邦捜査局(FBI)が、米アパレル大手アバクロンビー・アンド・フィッチのマイク・ジェフリーズ元最高経営責任者(CEO)の性的人身売買疑惑について捜査を開始した。ジェフリーズ氏についてはBBCの調査チームが昨年、世界各地でセックスイベントを開催し、複数の男性を搾取していた疑惑を報じた。
ジェフリーズ氏とイギリス人パートナーのマシュー・スミス氏は現在、性的人身売買を行っていたとして民事訴訟を起こされている。また、アバクロンビー・アンド・フィッチも、ジェフリーズ氏による「犯罪事業」を可能にするリソースを「自由に使わせていた」として訴えられている。
そして今回、FBIが現在、証人となる可能性のある人物への事情聴取や出頭命令を行っていることが、BBCの取材でわかった。
複数の情報筋によると、捜査は性犯罪の疑いを専門とするFBI捜査官とニューヨーク東部地区の連邦検事が主導しているという。
ジェフリーズ氏の弁護人は、BBCの取材要請を断った。
FBIと連邦検察当局は共にコメントを控えている。
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BBCの調査報道番組「パノラマ」の取材では、ジェフリーズ氏とパートナーのスミス氏が、ニューヨークの自宅や世界中の豪華ホテルで開いたイベントで、若い男性を性的に搾取していた疑惑が浮上した。
BBCが話を聞いた8人の男性は、2009~2015年にロンドンやパリ、モロッコ・マラケシュなどでこうしたイベントに参加したと話した。
イベントでは、ジェフリーズ氏とスミス氏が男性たちと性行為におよんだり、男性たちに性行為をするよう「命じたり」していたという。
また、BBCが入手した航空券やイベントの日程表などの文書からは、男性たちを勧誘するネットワークや仲介人が関与する、高度に組織化されたオペレーションがあったことが明らかになった。
BBCはこの仲介人であるジェイムズ・ジェイコブソン氏(70)を探し出し、話を聞いた。同氏は不正行為を否定。イベントに参加した男性たちは「何が起きるか完全に分かっていた」と述べた。
同氏は取材の際、自宅を訪ねたBBC記者に、「名前を出さなければすべてを話す」と何度も「取引」をもちかけた。記者はこれを拒んだ。
アバクロンビー・アンド・フィッチは、問題行為の疑惑に「驚き、不快感を覚えている」と述べた。同ブランドは疑惑が浮上して以降、ジェフリーズ氏に対する年間100万ドル(約1億4800万円)の退職金の大半を停止している。
ジェフリーズ氏はBBCに対し、弁護士を通じ、常にコメントを拒否している。パートナーのスミス氏はBBCの報道にまったく反応していない。
(英語記事 FBI investigation after ex-A&F boss sex claims)