BBC NEWS JAPAN より
【米大統領選2024】 トランプ前大統領、アイオワ州で大勝 共和党の候補選び本格開始
今年11月の米大統領選に向けた野党・共和党の候補者選びが15日、アイオワ州の党員集会で本格的に始まった。出口調査によると、ドナルド・トランプ前大統領が圧勝したもよう。フロリダ州のロン・デサンティス知事は大きく票差をつけられて2位、ニッキー・ヘイリー元国連大使は3位の見通し。
BBCがアメリカで提携するCBSニュースの予測によると、トランプ前大統領の得票率は51%。デサンティス氏が21%で、ヘイリー氏は19%の見通し。
前大統領は州内99郡のうち、98郡で勝利したもよう。
極寒の中で投票した共和党員の中でも、白人のキリスト教保守派や超保守派の有権者の多くがトランプ前大統領を支持したとみられる。
民主党はジョー・バイデン大統領が候補者となる見通し。共和党がこれから各州での予備選や党員集会を経て選ぶ候補と、11月5日の本選で争う展開となる。
アイオワ州の州都デモインで支持者を前にした前大統領は、デサンティス、ヘイリー両氏について「実際とても健闘した」と述べたうえで、バイデン大統領について「やたらとたたきたくはないが、この国の歴史で最悪の大統領だ」と攻撃した。
バイデン氏はソーシャルメディアに、「ドナルド・トランプがたったいま、アイオワで勝った様子だ。現時点では明らかに彼が相手側の、先頭を走っている」と書いたうえで、「この選挙が、『みなさんと私』対『極端なMAGA(アメリカを再び偉大に)共和党員』との争いになるのは、前からわかっていたことだ。昨日もそうだったし、明日もそうなる」とし、支援を呼びかけた。
トランプ前大統領を支援する政治行動委員会(PAC)は、本選に向けて十分に準備できるよう、共和党内の対立候補たちに撤退するよう呼びかけた。
しかし、デサンティス知事の選対幹部は撤退するつもりはないと言明。「(トランプ陣営は)ロン・デサンティスに対して総力戦を仕掛けてきたが、ロンを殺せなかった。彼はまだ立っているし、アイオワから次へ向かうためのチケットを手にした」と述べた。
ヘイリー氏も党員集会後の集まりで、トランプ氏の代わりになれるのは自分だけだと主張。「ニューハンプシャー州やサウスカロライナ州やその先の各地での様子を見れば、アイオワでのこの結果によって、共和党の予備選で争っているのは2人だけになったと言える」と述べ、「トランプ対バイデンの悪夢を食い止めるには、私たちの運動だけが最後で最善の頼みの綱だ」と強調した。
一方、起業家ヴィヴェク・ラマスワミ氏は選挙活動の中止を発表。アイオワ州ではわずかな得票にとどまり、大差をつけられての4位だった。トランプ前大統領を支持すると表明した。
出口調査によると、極寒の州内各地で投票した共和党員たちは、性別や年齢層を問わず、その多くが前大統領に投票。男性、女性、高齢者、若者のいずれの層でも、前大統領は2016年より高い得票率を得た。
前大統領は数々の事件で起訴されているが、アイオワ州の共和党員のほとんどがそれを重視せず、仮に有罪になったとしてもトランプ氏は大統領にふさわしいと大勢が話している。
トランプ前大統領は、全国的に共和党支持者の間で支持を固めつつあるが、同時に連邦レベルと州レベルで計4件の刑事事件で起訴されている。
さらに、不動産価値を偽ったと訴えられているニューヨーク州での民事訴訟について今月中にも判決が出るほか、16日には1990年代に性的暴行を加えたと認定されたコラムニストからの名誉毀損の訴えをめぐる審理も予定されている。
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党員集会の会場のひとつになった州東部ダヴェンポートの高校では、トランプ支持者のブライアン・ローマー氏が、前大統領が相次ぎ起訴されていることについて「この国で起きているのは、共産主義の国で起きるようなことだ」、「自分たちが暮らすこの国はもう、自由な国ではない」と他の共和党員に訴えた。
アイオワ州の共和党員は、不法移民の問題を重視しており、移民問題が自分にとって最優先課題だと答えた共和党員のほとんどがトランプ氏に投票した。
さらに、党員の多くは人工妊娠中絶を全国で全面的あるいはほとんど禁止すべきだとしており、そう答えた党員のほとんどがやはり前大統領に投票した。
一方、共和党はもはやトランプ前大統領にとらわれず、先に進むべきだという声もある。デモイン郊外の高校で党員集会に参加したカイル・ブロックさんは、デサンティス氏の「品位や立ち居振る舞いが好き」だとして、知事がフロリダで実現してきた業績も評価していると話した。
ほかに、前大統領の候補指名に反対する共和党員の中では、11月の本選で勝てる見込みがあるのはヘイリー氏だけだという意見もある。
デモインの高校で開かれた党員集会に参加したハリー・スティル・カリスさんは、「ほかの共和党の候補とバイデン大統領を見ると、(ヘイリー氏は)当選させやすい候補だと思う。派手に立ち回ったり混乱を引き起こしたりしない、そういう人が必要だ」と話した。
ヘイリー氏は無党派層や共和党内の穏健派の支持を集めようとしているものの、アイオワ州ではそれが票につながらなかった。圧勝するかと予想されていた州都デモインの郊外でも、トランプ前大統領におよばなかった。
アイオワ州に続いて、23日にはニューハンプシャー州で予備選、2月8日にはネヴァダ州で党員集会が行われる。3月5日には14州が同時に共和党候補を選ぶ、いわゆる「スーパー・チューズデー」が予定されている。
共和党は、今年7月15~18日にミルウォーキー州で全国党大会を開く。各州の予備選・党員集会の結果を受けて、本選で争う党の候補を最終日に正式に指名する。
候補選びの第一弾となるアイオワ州は、各候補が指名獲得に向けてはずみをつけるための重要な出発点とされる。ただし、アイオワ州で勝った候補がそのまま党の候補になるとは限らない。共和党現職が再選を目指す展開ではなかった近年の大統領選では、2008年(マイク・ハッカビー氏)、2012年(リック・サントーラム氏)、2016年(テッド・クルーズ氏)といずれも、アイオワ州で勝った候補は本選の候補にならなかった。
共和党の候補争いで各州に割り当てられた代議員は計約2400人で、党候補になるには代議員1215人を獲得する必要がある。アイオワ州に割り当てられた代議員は40人。
(英語記事 Iowa caucuses: DeSantis edges out Haley for distant second behind Trump)
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