オリオン座大量雲M42
星雲の中心部は明るすぎてふつうの写真では露出オーバーとなり白くとんでしまう。これはアンシャープマスキング法のテクニックで中心部も外側もー様に表現したもの。
魅力的なオリオン座大星雲の中心部をアップして見たもので,中心部にこの星雲を輝かせているトラペジウムの四重星が見えている。望遠鏡の視野の中に映る星雲の姿は,この星雲全体としてはごく一部分で,トラペジウムのひとつθc星のすぐうしろに、膨大な質量をもつ見えない分子雲がひかえていて,その分子雲中からつぎつぎに若い星ぼしが生まれ出ている。星雲を輝かせているトラペジウムをはじめとする星ぼしも,数百万年前にはこの巨大な分子雲中の密度のゆらぎであり,数万年前,星として誕生にこぎつけたころは,分子雲の中にうもれて,まだその姿を見ることはできなかったことだろう。やがてトラペジウムの星ぼしの放つ紫外光によって電離した熱い領域がしだいにひろがり,われわれの方向側の分子が完全に電離された結果,オリオン星雲として見えるようになったわけである。星になれなかった分子雲のガスが,星になったかつての同じ分子雲によって輝かされているというのが,この星雲の実体なのである。