黒木)今週のゲストはシンガー・ソングライターの竹内まりやさんです。
竹内)瞳さんとの出会いを考えてみると、ドラマの主題歌を担当させていただいたときの打ち上げで、隣に座っていらしたのですよね。私は宝塚の娘役の瞳さんのイメージがあったので、フェミニンな人だろうと思っていたら、おきゃんな、むしろ男っぽい人で驚きました。むしろ嬉しい意外さがあったのですよね。
黒木)そのときも、そうおっしゃっていましたよね。私が主演をさせていただいた『おトメさん』という連続ドラマで、「たそがれダイアリー」という曲を書いていただきました。
竹内)姑さんのことをおトメさんと言うのですよね。それで、その姑役だったのです。あれがはじめての出会いでした。
黒木)まりやさんと言えば、たくさんの楽曲がありますね。
竹内)番組の主題歌とか、映画の主題歌やテーマ曲、そういうもので曲を流していただけるので、私自身がテレビに出なくても歌を届けることができて、とても恵まれていたと思います。そういうことが続いた上での40年だったなと思います。
黒木)私の大好きな「いのちの歌」が、ベストアルバムのDisc1に収録されていますけれども、私がはじめて映画監督をしたときに使わせていただきました。この歌詞が、私が表現したいすべてだったのです。
竹内)この本の出版権を自分で買ったとおっしゃっていましたよね。
黒木)そうですね。
竹内)すごい熱意でした。『嫌な女』というタイトルも強くて。
黒木)「いのちの歌」を使うことをOKしていただいて、嬉しかったですね。はじめての監督なので、わからなかったり躓いたり、壁にぶち当たったりしましたが、そのときは撮影中でもこの歌を聴いて、泣きながら「大丈夫」「ありがとう」と思っていました。
竹内)映画を観て、最後に曲が流れたとき、「だからこの曲にしたかったのだな」ということがわかりました。瞳さんの思いがね。
黒木)ありがとうございます。
竹内)こちらこそ、使っていただいて本当に嬉しかったです。
黒木)「いのちの歌」は私も本当に感動したのですが、いろいろなところで歌われています。
竹内)卒業式や謝恩会など、そういったところで歌ってくださる方が多いと聞きまして、10年も前に書いた曲がいまこうやって歌い継がれて行くということは、作家冥利に尽きますね。
黒木)謙虚におっしゃっていますけれど。
竹内)本当に嬉しいです。この曲は、日々感じている素朴な思いをそのままを言葉にしたものです。生きているということは、生かされていることだと思うのです。生きたくても生きられない人がいるということを考えると、生かされていることにまず感謝しなければいけないということと、両親にも育ててもらえたことを感謝する…なかなか普段は言葉にできないのですが、歌だったら「ありがとう」と言えるようなところもある。照れくさいですしね。