けっこう亡母は、私に父に関する微妙な話をした。
母と結婚して、父が騙されたと思ってるかもしれない、とか。なににだまされたと思うのだろうか。
亡母に弁膜症があり何回も手術をしたからだろうか。
初回は、父が飛び回って献血を集めたとか。まだ、手術に出血が多い時代、60年前だった。
しかし、私を産んで弁膜症だとわかったというから、病気を黙っていて、騙したわけではない。
そういえば、私に見合いを持ちこんでくる人が昔はたくさんいた。
写真と履歴をカバンからサッと出してくる。
こちらはもう勘でわかるから、あ、結構です!と先回りだ。
見てしまったら断りにくい。
一度だけ見てしまったことがあるが、そこには、病歴なし、などと書いてあった。
それはともかく、亡母の嘆きで一番ひどいと思ったのは、
本当は、パイロットの彼氏か、知人がいたのよ、と言ったこと。
そんなこと私に言うんじゃない。
出世しなかった父より高収入の彼氏がいたと言うことらしい。
しかし、その場合、私も存在しなかったことになるが、そんなことは女性にとってどうでもいいのだろう。





