同窓会と言えば初恋の人。その人が来ると判った時点で行く気が起きたのも事実。
初恋の彼女は小学生の時から仲良くしていた子だった。元気でハツラツで明るくて、暗さとは無縁の様な感じの子だった。小学校の席替えで、意図的に隣になる様に細工をする様な仲だった。その仲も中学までで、彼女は中2の頃に同級生の彼氏が出来た。学校の帰りに時々、彼女と彼氏を見掛けた。彼女は彼氏の自転車の後ろに乗って楽しそうだった。そう言う光景を奇妙な感覚で見ていた記憶がある。
そんな私も彼女も今年50歳になった。ロビーで幹事と話していると、彼女がホテルにやってきた。どんな容姿になってるんだろう?と言うのが一番の関心だったが、彼女は瑞々しかった。少し色黒で可愛い感じだった彼女の肌は白くなり、洗練された容姿になっていた。50の女には見えなかった。
テーブル席が違っていた為、接近する事が出来なかったのだが、終わり際に彼女の方から寄って来て話し掛けてくれた。
彼女:「〇〇ちゃん、久しぶり。元気」
私:「久しぶりだね」
こんな会話から始まった。
彼女は20代の前半で公務員と結婚し、女の子を産んだ。その女の子はもう20代後半になる。
私:「結婚、早かったよね」
彼女:「うん。結婚しなきゃよかったよ」
話のノリと勢いでそう言ったと私は解釈した。と言うのも、私の母も彼女と同じ様な事を言った事があるのを覚えていたからだ。女は結婚して時が経つと、そう言う事を言うのかもしれないなと私は思った。
私:「娘さん、可愛いでしょ」
彼女:「家に居るよ。あんなの可愛くないよ」
サバサバした彼女の言い方に私は笑った。我が子を可愛くない母親など居ないのである。彼女なりのユーモアだと思うし、サービス精神と社交性のある彼女らしいなと懐かしく思った。
50に見えないほど若く見えたし、もっと話せたらなと正直思った。きっと昔話で盛り上がれただろう。今だから聞きたい事もあった。もういつ会えるかも分からない。だけどもタイミングと時間が無いと言う煩わしさ。この同窓会で感じた唯一の不満だった。
話し込んだら好きになってしまうかもしれないと言う妙な感覚が私にはあった。彼女には無かったかもしれない。でも50になった彼女が、とても魅力的に見えた。でも彼女には旦那が居るし、娘も居ると言う現実がある。本当に実ってしまう50歳同士の恋だとすれば、それは非常に危険な恋になるだろう事は判っているのである。
同窓会の翌日、幹事からスマホのLINEの誘いが来て、参加した30人が全てLINEで繋がると言う現象が起きた。この中には当然、初恋の人のLINEも入っていた。だが、このLINEはあくまでも幹事が主催しているグループなので、個人的な書き込みは避けなければならない。なので、初恋の人にピンポイントで「お疲れ様、元気?」とかやってしまうと違和感があるし、他の連中にも見られるので、それは出来ない。
どういう考え方をすればよいのだろう。何か違う考え方が必要だと感じた。そこで辿り着いた考え方とは、プラスマイナスだった。つまり、良い事も悪い事も半々でイイじゃないかと言う考え方。そもそも、タイミング的には奇跡的な同窓会だった。2度あって2度参加せず、3度めがあった事自体が、もはや奇跡だったんじゃないかと。初恋の彼女目当てでなくても、当時、よく遊んだ友人達と再会できて話が出来た事だけでも上出来だったんじゃないかと。
その上で、これ以上は高望みだし、欲の搔き過ぎなんじゃないかと。何か行動を起こして波紋や波風を立てるよりも、静かな日常へ戻った方が良いのではないかと。そうやって自分の精神をコントロールする事が、今の私に出来る事だった。
最近感じる事だが、男と女では初恋に対する拘りが違うのではないか?と言う事。男はいつまで経っても初恋の相手を忘れず、どれだけの月日が経っても記憶の片隅に残り続ける。50歳になった今でも、寝ている夢の中に初恋の人が登場する事もある。そんな夢を見た後の寝覚めは妙に体が重い。
一方で、女は初恋の男がどんな存在であったのか?と言う事に関しては謎めいている。引きずる事も無く、曲がり角を振り返らないと言う話を過去に聞いた事はあった。初恋の男など過去の産物で、ただ今現在こそが現実の全てなのよ!なんてカラッと笑われるかもしれない。
色んな意味で初恋は特種だと思わざるを得ない。
次回に続く!












