前回の話






救急車が大学病院に到着し、看護師さんが迎えに来てくれていました。



車椅子に酸素ボンベを付けていて、娘は救急車から車椅子に移り小児病棟へ向かいました。



看護師さんが娘の車椅子を押し、私が後ろから着いて行きます。



1ヶ月前までは普通に歩いて生活していたのにな…



車椅子で酸素吸入をしている娘の後ろ姿を見ていると、不安な気持ちが増していきました。



病棟に着くと仲の良い看護師さんが飛んできました。



「娘ちゃーん!体調大丈夫?

大変やったみたいやけど…」



娘は少し照れながら

「元気になったから大丈夫だよ!」



と言うと看護師さんが

「本当に良かったわ〜」


と心配してくれていました。




病室に行き、主治医の先生も来てくれて挨拶をしました。


そして、翌日から娘の肺の検査が始まりました。





検査内容は


  • 胸部X線単純写真

  • CT検査

  • 呼吸機能検査

  • 肺シンチグラフィー 

で行いました。




数日すると、検査結果についての説明で私とパパが呼ばれました。




呼吸器内科の先生と主治医、看護師さんが別室に揃っていました。


検査した画像を見ながら丁寧に説明してくれました。





検査結果は


移植後慢性GVHDによる閉塞性細気管支炎




ステロイドと気管支拡張薬で経過を見ていく


と言う事でした。




「ステロイドで呼吸状態は良くなりますか?」


パパが聞きました。





先生は

「ステロイドで症状を抑える事はできますが、今現状では薬での治療法はありません…


この先悪化していくようなら、肺移植を検討していくしかないです…」




パパも私も無言になりました。




肺移植って…次元が違いすぎる…

そんなの無理だ…


言われた事に全く現実味を感じず、そう思いました。



「今は酸素吸入で安定しているので、ステロイドの服用で呼吸状態の経過を見ていきましょう。」



「はい…宜しくお願いします。」

パパと退室しました。





「何で娘ばっかりこんな事になるのかな…」

パパがボソッと呟きました。




全く同じ事を考えていた…


私はもう返す言葉はありませんでした。