TAKANAWA GATEWAY CITYというのが、一昨日の2025年3月27日に「まちびらき」した
というニュースを目にしました。
最寄りの駅は、2020年3月14日に開業したJR東日本の「高輪ゲートウェイ」。
この駅名については、JR東日本自らが広く新駅名を公募した結果、1位だった「高輪」(8398件)も、
2位の「芝浦」(4265件)も、3位の「芝浜」(3497件)も、同数4位の「新品川」「泉岳寺」(2422件)
も一切無視した命名されたため、その反対意見のオンライン署名が行なわれた、ということで一時期、
話題になったことを覚えています。(細かい数字等について、wikipediaを参照しました。)
さて、決まっちゃったモンはしかたない、と仮に妥協するとしても、英語教員として気になるのは、
英語として同一の音素/eɪ/を、なにゆえにカタカナでは2通りの表記に書き分けているのか?
ということです。
改めて書くまでもなく、gateは/ɡeɪt/で、wayは/weɪ/です。
どうして同一の音素である/eɪ/を、前者においては「エー」と表し、後者では「エイ」とするのか?
疑問だらけです(カナ表記するに当たって、子音部分は省きました)。
「ゲイトウェイ」あるいは「ゲートウェー」と統一を図ってもらいたかった、というのが本心です。
『日本語尾音索引(普及版)』(1987、笠間書院)を見てみると、「エート」系のカタカナ語には、
「ウエート」「ゲート」「スケート」「デート」「レモネード」「スペード」「メード」
「クラスメート」「エスカレート」「ストレート」「プレート」
などがあります。
が、その一方、「エイ」系はというと、一つもありません。
手元にある電子辞書(CASIOが撤退するというニュースが先日流れてきました!)の『広辞苑』の
「逆引き検索」機能を使ってみると、
「エッセイ」「ホームステイ」「アールグレイ」「トレイ」「ナンバーディスプレイ」「ブルーレイ」
のほかに、
「ゲートウェイ」「フェアウェイ」「マイウェイ」「ランウェイ」
が出てきました。どうやら、"way"を「ウェイ」と表記することは一般的なのかもしれません。
(とは言え、文字では「エイ系」で書く語も、実際の発音は「エー」である場合がほとんどだと思います。)
ともかく、本稿で取り上げている「ゲートウェイ」が「(略)。プロトコル変換器の一種」という定義で、
載っていたのは、私にとっては大発見でした。
というわけで、今回の駅名のカナ表記は、先行するコンピュータ用語におけるカナ転写をそのまま借用した
形であることがわかりました。
とはいえ、(公募結果を黙殺するという横暴を仮に黙認するとしても)「先行する表記を踏襲したまでだ」
と甘んじるのではなく、ここははやり「同じ音素を同列のカナ表記に改める」という英断をしてもらい
たかったものだと思わずにはいられません。