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英語教育あれこれ:「どれ?」「それ!」

phonicsや文字指導を中心に
英語教育について
書いています。
入門期のシラバス
(文法事項の導入順序)
にも興味があります。

かつて、A if not B の意味は

①「BでないとしてもAである」だと覚えました。

 

ところが、最近では

②「Aであるが、ひょっとしたらB(かもしれない)」

という意味で使われることもある、という説明を目にすることが増えてきたように感じます。

 

わたしがこの2つの解釈の存在を知ったのは、次の本でした。

  岡田伸夫『英語の構文150 Second Edition』(2003、美誠社)

(ちなみに私は高校時代に、同社から同名で刊行されていた高梨健吉版を使いました。)

 

 

その岡田版の中の“A if not B”という項の、暗誦用例文(キーセンテンス)は次のもので、

2通りの解釈が載っています(便宜上、①②をつけることにします。イタはママ。太字は私):

 

He makes most, if not all, of the important decisions for his company.

 ①「… 会社の、すべてのとは言わないまでもほとんどの重大決定をしている」

 ②「… 会社のほとんどの、ひょっとしたらすべての重大決定をしている」

 

さらに、補足説明のための例文として、次のものが添えられていて、名称が付けられた2種類の“型”と

解釈が示されています:

 

He is pleasant, if not charming.

 〈譲歩型〉… 魅力的ではないけれども少なくとも感じのいい人だ。

 〈伸展型〉… 確かに感じのいい人だ。魅力的と言ってもいいかも知れない

 

岡田先生は2つの意味が存在する根拠を示していらっしゃらないのですが、

あまりに異なる意味に当惑した私は、なぜそうなるのかと頭を捻り、声に出しながら音と意味とを

結びつける作業をした結果、次のような解釈に至りました。

 

**********************

〈譲歩型〉

本来の姿は

  He is pleasant, (even) if (he is) not charming.

意味は、

たとえcharmingでない(=charmingとまでは言わない)としてもpleasantな人物で(は)ある」

 

〈伸展型〉

本来の姿は

He is pleasant. If (he is) not (pleasant, he is) charming.

意味は、

「彼はpleasantな人物だ、(ただ)もしpleasantでは(正確/適切で)ない(と言う)のならcharmingだ(と言おう)」

**********************

 

いかがでしょうか。

 

素人のタワゴトかもしれませんが、このように解釈した結果、辿り着いたのは、

「構造(と意味)が異なっているのに、同じ表記をしているのはおかしい」ということ。

 

言い換えれば、意味(の②への変化)に正書法が追いついていないのではないか? ということです。

 

そして私が考える伸展型〉“あるべき”正書法は、次のものです。

〈譲歩型〉He is pleasant, if not charming.(ママ)

〈伸展型〉He is pleasant; if not, charming.(セミコロンとコンマ

 

つまり、pleasantで最初の「文」はいったん終わりにして、そのあとにifで始まる複文を添える。

 

では、最初に掲げた例文、

He makes most, if not all, of the important decisions for his company.

はどうすればよいか?

 

〈譲歩型〉①なら、このままでよいと思いますが、〈伸展型〉は・・・。

 

さすがに、文の途中にセミコロンは使えませんが、2つめのコンマを移動させて、次のようにしたら

どうでしょう。これならば、明確に①との(意味の)違いが書記上で表せる気がします。

 

〈伸展型〉②. . . most, if not (most), all of the important decisions . . .

 

また、もし、この解釈が正しければ、発音上も違いがあるのではないかと思います。

伸展型〉なら、notの直後に短いポーズが入るのでは? と。

 

実際のところはどうなんでしょうね?

ナチュラルなスピードだと、私の耳では認識できないくらいの短さのポーズかもしれませんが。