先日、山田五郎さんのYouTubeを観ていたら、「徒歩でローマまで行ったペドロ岐部という超人的なキリシタンがいた」というのを聞き、まったく知らなかったので岐部さんに関する本をググりました。
すると遠藤周作さんの『銃と十字架』と『王国への道 ー山田長政ー』の二つにペドロ岐部が登場するとあり、あらすじを見たら山田長政の人生も面白そうだったのでまずは後者を読んでみました。

『王国への道ー山田長政ー』 遠藤周作著 1981年
あらすじ:戦国時代も終わり、山田長政は立身出世の機会のなくなった日本を飛び出しシャム(タイ)へ赴く。キリシタンのペドロ岐部は国外追放されるが、神父の資格を取るためにローマを目指す。「地上の王国」を求める長政と「天上の王国」を目指す岐部は真逆の価値観を有していたが、互いに己の求めるもののために命懸けで突き進むのであった・・・。
山田長政もペドロ岐部もほぼ名前しか知らなかったので、とても面白かったです!
タイトル通り主人公は山田長政で、ペドロ岐部はたまに顔を出す程度でしたが、若い頃に出会った真逆の人間であるお互いのことを二人が折に触れて思い出すのが印象に残りました。
長政は自らの才覚だけを頼りに海を渡り、縁もゆかりもないシャムで戦いと謀略に明け暮れます。爆竹の音で象を驚かすような奇策で連戦連勝する様は面白くもあり、同時にどこまでが史実なのかよくわからないモヤモヤ感を感じるところでもありました。
というわけでWikipediaで山田長政の実際の足跡を確認しつつ読み進めてみたところ、思ったよりは史実に沿って書かれていたことが分かりました。
小説では日本人町の首領になった長政が死ぬまでを描いていますが、Wikipediaによればその死後に日本人町は焼き討ちされ、住民のことごとくが殺害もしくは追放となったとあり、長政がたびたび思い出すペドロ岐部のセリフ、「富も名声もむなしかぞ」が頭の中によぎります。
昨今は移民受け入れの是非について議論されるようになってきたので、このタイミングで移民側の視点を得たことは貴重な体験でした。
一方でペドロ岐部のほうは先述のローマまで徒歩で行ったという偉業はわりとさらっと描かれていたのがやや肩透かし。しかしその後の拷問や死刑を覚悟した上で日本に帰国するエピソードがかなり壮絶です。
エンタメ小説として歴史を改変・創作して書かれていることをポジティブにとるかネガティブに捉えるかで評価は分かれるのでしょうけれど、山田長政とペドロ岐部の実際の人生が凄すぎたのでこの二人のことを知れただけでも十分に読む価値を感じました。歴史小説が好きな方にはオススメです。