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Wind Walker

ネイティブアメリカンフルート奏者、Mark Akixaの日常と非日常

オズの虹の国 オズの魔法使いシリーズ

 

『オズの虹の国』 ライマン・フランク・ボーム著 1904年

 

『オズの魔法使い』の続編にして、全14作あるというオズシリーズの2作目。(ボームの死後、別の著者が書いたものも合わせたら40作あるそうです・・・!)

 

ドロシーがカンザスに帰った後のオズの世界で、少年チップが主人公。ドロシーは登場しません。

 

 

あらすじ:チップは魔法使いの老婆モンビに育てられていたが、ある日何にでも生命を与える「いのちの粉」を盗んでモンビの元から逃げ出した。ちょうどその頃、ジンジャー将軍率いる美少女ばかりの軍隊がエメラルドの都で反乱を起こす。チップは王位にあったかかしと共に都を脱出し、ブリキの木こりと合流して都の奪還を目指すが・・・というような話。

 

 

映画版『オズの魔法使』の感想で「ドリフっぽい」と書きましたけど、本作はそれこそずっと長尺のコントを見ているような感覚でした。

 

前作ではドロシーというこちらの世界の人間が異世界に迷い込んだことで、ドロシー目線でオズの世界の奇妙さを楽しめたものでしたけど、本作は全員がオズの世界の住民だというのが決定的に大きな違いです。

 

つまりは、全キャラクターがクレイジーな存在なのですよ。彼らの言動のナンセンスさを楽しめるかどうかで評価は変わることでしょう。

 

私は正直楽しむことができず、唯一まともな善い魔女グリンダが出てくる終盤までは頭痛とめまいを覚えながら読み進めました(笑)

 

しかしグリンダがオズの世界の正当な支配者(オズの魔法使いは正当な支配者から王座を奪ったとのこと)の存在を語り始めてからは俄然面白くなり、そして最後はびっくりするような超展開が。

 

いやー、120年以上前に書かれた話なのに、まさかジェンダーがテーマの話とは思わなかったです。女性の参政権が叫ばれていた当時の時代背景の影響とのこと。

 

 

有名な「オズの魔法使い」の続きがあること自体を知らなかったので続編がこんな感じだとわかっただけでも面白かったですし、終盤の展開は普通に引き込まれました。

 

そもそも「続編を書いて欲しい」という子供たちからの要望が作者のもとに殺到したため本作が書かれたとのことでしたが、今度は「ドロシーはどうなったの?」という手紙が多く寄せられたので次作以降は全作にドロシーが登場するとのことでした。

 

ドロシーがどうなったのかは確かに気になりますね。次作も読むしかなさそうだなぁ・・・。

 

 

 

 

もはや何度目かは忘れましたが、また誕生日でした。

 

本日はシンガーでサックス奏者である中野成将さんがナビゲーターを務める渋谷のコミュニティラジオの生放送にゲスト出演してきました。

 

放送の模様は、以下よりアーカイブをお聴きいただけます。

 

87.6FM 渋谷のラジオ「渋谷商店部」

https://note.com/shiburadi/m/m7cd6255ae1de

 

もはや何度目かは忘れましたが、どのようにネイティブアメリカンフルートと出会ったかの話をしております。よろしければお聞きください。

 

陰陽道の神々_決定版 (法蔵館文庫)

 

『陰陽道の神々』 斎藤英喜著 2007年(決定版は2024年)

 

 

「陰陽師」や「安倍晴明」がちょっと前から映画、ドラマ、小説、アニメなどに登場するようになり、今では誰もが知るメジャーな存在となった気がします。

 

私も夢枕獏氏の『陰陽師』シリーズを読んだのが最初のきっかけでしたけど、そのようなエンタメ作品から親しんでしまったがゆえに陰陽道は安倍晴明の個人的な異能力のようなイメージを持ってしまい、実際にはどのような知識体系なのかを現在までまったく知らずにきてしまいました。

 

まず陰陽道は、古代中国の陰陽・五行説の考え方や、暦・天文・占術の知識を基にして日本で独自に編み出された信仰、祭祀、呪術の体系であるとのこと。

 

泰山府君、牛頭天王、天道神、金神、八王子、大将軍、盤古大王、土公神など、多くは暦や方位にまつわる神々を祀るのですが、元々は方位による吉兆を占っていたのが、そのうち方位そのものに人の運命を左右する力があるように考えられるようになったためらしいです。

 

このように仏教とも神道とも異なる神についてはちょっと前に読んだ山本ひろ子さんの『異神』でも取り上げられていましたが、日本の中世の世界観は我々が思っている以上に混沌としていることに改めて気が付かされましたし、今後もうちょっと深掘りしていきたい領域ではあります。

 

陰陽道は奈良時代に「陰陽寮」という役所が設けられ、天文・暦・占いを専門としていましたが、平安時代以降は新たな宗教の色合いを強めていきました。

 

明治3年の「陰陽道禁止令」によって歴史から姿を消しましたが、安倍晴明(土御門家)の流れを継承する「いざなぎ流」が今も高知県の物部村に残っていて、本作でもわりと大きく取り上げられています。

 

今まで読んだ陰陽師関連の本は「陰陽道=安倍晴明」という図式のものばかりでしたけど、本作には晴明の名前こそ頻出するもののあくまでも語られる対象は陰陽道そのものであるところが良かったです。

 

安倍晴明は歴史に名を残すほどの天才的な人物だったのでしょうけれども、どうやら自分の功績を大きく吹聴することにも長けていた人物でもあったようで、これは過去にブッダについて書かれた本を読んだ時にも同じような人物像を感じました。この世界ではそういうしたたかな人たちばかりが広く認められ名を残すということなのでしょう。やれやれ。

 

 

ところで大河ドラマ『光る君へ』に安倍晴明が登場することから本作も2024年に再刊されたとのこと。同年7月に書かれた後書きでは著者ががんで入院・治療している旨が書かれていましたが、ググったら9月に亡くなっておられました。ご冥福をお祈りいたします。