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Wind Walker

ネイティブアメリカンフルート奏者、Mark Akixaの日常と非日常

2006年にリリースしたミニアルバムにして私の原点、『イーグルソング』を今年再リリースする予定は年始に発表しましたが、新しいジャケットを原村の若き天才画家、堀之内聖さんに描いていただきました!

 

 

 

 

聖さんは昨年の私の原村での25周年ライブを観覧していただいたので、私のイメージも絵に反映されているのではないかと思います。特に眉毛に(笑)

 

実は聖さんのお母様である堀之内通子さんはネイティブアメリカンとご縁のある方で、2020年に原村で一緒にイベントをしたことがありました。

 

その時にも聖さんのお話は聞いていましたが、昨年の夏に八ヶ岳美術館で聖さんの企画展を実際に拝見して、主に動物を描いていることと単に絵が上手いというだけではない独自の感性をもっていることに感服。

 

「イーグルの絵を描いてほしい」とお願いをしてみたところ、快く承諾してくれました。

 

「イーグルソング」は私の作った一番古い曲ですけど、これからの世代の才能に新たな姿を与えてもらったことで、また再び生命を吹き込んでもらったような思いです!

 

 

堀之内聖さんのインスタグラムはこちら

 

 

ふと思い出したのですが、子供の頃に、誰かの疑問にパッと答えられるような何でも知っている人になりたいと思ったことがありました。

 

思えばそれが私の読書するきっかけだったのかもしれません。

 

今はAIの登場によって、他人のあやふやな記憶への価値や信頼はほとんど消滅したと言っても過言ではないでしょう。

 

そんなわけで私の読書も、誰かのために知識を蓄えるためではなく自分の楽しみのためにと完全にシフトできた気がします。

 

作曲もAIがあっという間に大量生産できる世の中になったので、アーティスト活動ももっと自己満足のためにと目的をシフトしようかなと思う今日この頃です。

 

 

 

 

『ババヤガの夜』 王谷晶著 2020年

 

昨年に本作が日本人作家の作品として初めてイギリスのダガー賞翻訳部門を受賞したというニュースを見て、読んでみました。

 

ダガー賞はミステリー文学賞なのですが、読んでみたらバイオレンスアクション。しかも主人公は女性ながら、まるで往年の夢枕獏作品のキャラのような屈強な格闘バカ。

 

そんな主人公がひょんなことからヤクザのお嬢様のボディガードを頼まれると、やがて真逆な二人の間に奇妙な友情が生まれ ・・・というあらすじ。

 

終盤に「やっぱりミステリだったのね」という仕掛けがあり、その意外さと、本作の含む女性蔑視、外国人差別、ジェンダー要素がうまく時代にマッチしたのでしょう。

 

権威ある賞をもらった立派な作品というよりは、漫画みたいで面白かったという印象でした。

 

 

 

 

 

『世界でいちばん透きとおった物語2』 杉井光著 2025年

 

前作の感想はこちら

 

主人公が『世界で一番透きとおった物語』を書いた若手小説家ということになっていて、そのメタな構造が面白いです。

 

「紙の本ならではの仕掛け」でヒットした小説の続きなので、今回も同様の趣向が用意されているのではないかと期待しましたが、そうではなかったです。

 

あるコンビ作家のプロット担当が亡くなって未完となった連載小説の謎を解き、主人公がその続きを書くというストーリー。架空のミステリ小説が掲載され、それを読んで主人公と一緒に謎を解明していくというプロセスも面白かったですし、前作同様に読後は優しい気持ちに包まれるところも令和っぽくて良いですね。

 

前作を気に入った方にはオススメです。個人的にはもうちょっと毒気のあるほうが好きですけど。

 

 

 

 

 

『残像に口紅を』 筒井康隆著 1989年

 

何か変わった本が読みたいなと思って出会ったのが、これ。

 

世界から一つずつ文字が消えていくという実験小説です。

 

「あ」が無くなれば「愛」や「あなた」という言葉も消えてしまうのはもちろん、「あ」のつく名前の人物も消失し、その人物に関わる記憶も無くなってしまいます。

 

マンガ『幽遊白書』の海藤戦の元ネタってこれだったのか! ・・・というのが一番の感想ですけど、『幽遊白書』を読んでいない方には何のことやらでしょうね。

 

小説の本文も使える文字がどんどん減り、後半になるにつれなんとか文章をひねり出し続ける著者の奮闘を見守る感じになっていきます。

 

主人公が虚構の世界にいることを自覚している設定なので緊迫感が無いのが個人的には不満でしたけど、「変わった本が読みたい」という当初の欲望はこれ以上なく満たしてくれる本でした。

 

 

 

 

 

『小説』 野﨑まど著 2024年

 

変わった本といえば、これ。

 

あらすじ:親に褒められるのが嬉しくて幼少期より小説を読み始めた内海集司。学校の近くに住む小説家の書庫で自由に本を読んでいいと言われると、友人の外崎とともにひたすら本を読む学生生活を送る。ただ読むだけの内海に比べ、外崎には並外れた文才があるのがわかり・・・という話。

 

 

内海は尋常でない量の読書をしてきた一方で、実人生でその知識も経験も何も活かせない自分を顧みて「本を読んでいるだけでいいのだろうか?」と悩みますが、「意味とは?」ということを宇宙規模まで話を広げながら、とことん突き詰めていく小説でした。

 

私もまた本を読むだけの人間ですし、「人生の意味とは?」という無意味なことを考え続けた青春を送った人間なのでどハマりしてしまいました。そうでない人にとってはそれこそ意味がわからない本かもしれませんが(笑)

 

宇宙の意味をとことんまで考えて見事に言語化してみせた人間がいて、その本を自分が読んでいるということに感動すら覚えました。「本を読んでいるだけでいい」と肯定してもらえる一冊。

 

 

 

 

 

 

『コメント力』 齋藤孝著 2004年

 

「日本人はコメント下手の国民である。」という一文で始まる、上手いコメントをできることがどれほどその人の魅力や評価を上げるのかということと、優れたコメントは一体どこが優れているのかを考察した本。

 

的確に、短く端的に、オリジナリティーをもって、などなど気をつけるべき点はたくさん挙げられていますが、結局のところ「上手いことを言う」ことを考えるよりは「そのメッセージが相手へのプレゼントになるように」という意識が一番大切なのかなと感じました。

 

ところで文章を読んでいただいて分かる通り、この本を読んだからといって即座に気の利いたことが言えるようになるわけではありません(笑)

 

 

 

オズのオズマ姫 オズの魔法使いシリーズ

 

『オズのオズマ姫』 ライマン・フランク・ボーム著 1907年

 

 

オズシリーズ3作目。本作からまたドロシーが主人公です。

 

前作『オズの虹の国』では登場人物がオズの住民ばかりだったこともあって、すぐに頭が取れただの足が壊れただのという理由で話がいちいち停滞することにイライラさせられましたけど、ドロシーという普通の人間が主人公に戻ってきたことによって今回はそういったこともなく楽しむことができました。

 

 

あらすじ:ドロシーは親戚を訪ねて船でオーストラリアへ行く途中、嵐で難破してしまいオズの隣のエヴという国へ漂着する。エヴの王家の人々は地底の国のノーム王に囚われていることを知り、オズの支配者であるオズマ姫一行とともに地底王国へ救出に向かうのであった・・・。

 

以前、子供の頃に『オズ』(「Return to OZ」)というトラウマ映画を観た話をしましたけど、その映画の元になっているのは本作でした。

 

 

せっかくなのでもう一度貼り付けておきます。

 

 

映画版は子供映画にしては過剰なほどホラー要素が増強されていましたけど原作では全然そんなことはなくて、恐ろしかった車輪人間や自分の首を取り替える姫や地底のノーム王など、どれもむしろ滑稽な存在として描かれていました。なんであんなにビビらせてきたのでしょうか、あの映画は。

 

映画ではなぜか前作『オズの虹の国』のキャラクターが仲間になっていましたけど、原作ではオズマ姫一行や昔一緒に旅をしたかかし、ブリキの木樵り、ライオンたちに加え、現実世界から一緒に来たメンドリのビリーナたちと行動を共にします。

 

ビリーナは普通のメンドリでしたが不思議な国に来たことによって言葉を話せるようになり、この物語で一番といって良いほどの活躍を見せます。映画では出てこなかったように記憶しているのですけど、ではノーム王の試練を誰がどうやってクリアしたのだっけ?

 

動物が喋るようになるのであれば最初の『オズの魔法使い』で愛犬トトが喋らなかったのはなぜ? という疑問も湧きましたけど、ググったらどうやらシリーズを通して設定が一貫していないのがこのシリーズの特徴のようでした。

 

 

というわけで映画の記憶もあって前作よりも楽しめましたが、「桃太郎」に登場する鬼たちに同情してしまうように、結果としてドロシー一行にただ宝物を奪われただけのノーム王がちょっと気の毒には感じました。

 

そういう「この悪役は本当に悪なのか?」という視点を逆転させたのが『ウィキッド』という物語なのでしょうね。