『ジャガー・ワールド』、『テスカポリトカ』というマヤ・アステカ文明を作品の一部に取り込んだ小説を続けて読みましたが、もっと本格的にどっぷり浸かりたい! と思い、とうとうこの本に手を伸ばしてしまいました。
『マヤ神話 ポポル・ヴフ』林屋永吉訳 1977年
『ポポル・ヴフ』は三島由紀夫によって「メキシコの古事記」と評されましたが、実際には現グアテマラのキチェ族の何者かによって記録された口承文学。
研究によって、1554~1558年頃に成立したと推測されており、スペインの支配下で失われようとしていた自分たちの神話や由緒を保存するために書き残したものと思われます。
18世紀にヒメーネス神父が発見し、スペイン語に翻訳。その後に原典は失われたので、ヒメーネス版が現在出版されている全ての『ポポル・ヴフ』の元になります。
内容は四部構成。
第一部は世界の創造。メソアメリカ文明の最大の長所は、他の地域の文明の影響をまったく受けていない独自性ですが、出だし部分では思いっきり聖書の「創世記」の影響を受けてしまっています。
創造主は自分達を養い、崇めてくれる存在を作ろうとして最初動物を作りましたが、言葉が喋れませんでした。次に泥で人間を作りましたが、すぐに壊れてしまいました。次に木で人間を作りましたが魂や知恵がなく、創造主のことを考えることもなかったので、洪水を起こして滅ぼしました。
第二部は双子の冒険。第一部の最後に双子が傲慢な男とその息子たちを倒すという冒険譚がすでにあったのですが、一旦時間を遡って双子の父親と兄弟の話。彼らは地下世界シバルバーの主たちに球技をやろうと招かれますが、騙されて殺されます。
時が流れ、双子もまた球技に誘われますが、主たちの企みをことごとく見破り、逆に主たちを騙して殺しました。双子は太陽と月になりました。
第三部は人類の誕生。とうもろこしから四人の男が作られました。四人は神と同等の知性を持っていたために、慌てた神々は人々が近くしか見えないように視力を曇らせます。四人の女を男たちに与え、人類は増えていきました。
第四部は現在の民族の起源。
以前読んだ『アメリカ・インディアンの神話 ナバホの創世物語』に内容や構成がそっくりなのが気になりましたけど、地理的にも近い北米先住民の神話と似ていること自体は不思議でもなんでもないのでしょう。
ナバホの神話よりも血生臭いですが、傲慢なものは罰を受けるという倫理観はこちらのほうが強いように感じました。
それにしてもメソアメリカの固有名詞は覚えるのが難しいというか、非常にとっつきづらいです。
そんなわけで、手書き作家・芝崎みゆきさんの『古代マヤ・アステカ不可思議大全』をもう一度読んでみたら、なにも知らずに読んでいた時に比べて驚くほど理解が進みました。
『ポポル・ヴフ』に関しても載っているので、興味のある方はまずこちらを読むのがおすすめ大全。

