先日、風のオカリナにマヤ・アステカに実在した「ジャガーの戦士」の名前をつけましたけど、その際にマヤ・アステカの戦士についての知識を自分が全然もち合わせていないことに気がついてしまいました。
そんな私にぴったりな小説がちょうど昨年出版されていることに気づいたので、早速読んでみることに。
『ジャガー・ワールド』 恒川 光太郎著 2025年
マヤ文明を下敷きにした架空世界のファンタジー小説。
あらすじ:エルテカ帝国では、神への生贄によって国家秩序が維持されていた。辺境の島に住む少年スレイは平和に暮らしていたが、突然生贄攫いに家族を殺され、自身も生贄の館へと連れ去られてしまう。しかしウェラス族の女性に救出され、高度な知識を持つウェラス族の一員として育てられて・・・というところから始まる長大な物語。
この世界では神に生贄の心臓を捧げることが慣習化していて、その理由は人間も他の生命を奪うことでしか生きる糧を得られないように、神も人間の心臓を与え続けなければ活力を失ってしまうと考えられていたため。
かつて心理学者のユングが北米先住民に会いに行って、「彼らが誇り高い顔をしている理由は、自分たちが宇宙の運行を担っている自覚があるからだ」と理解したという記録を呼んで深く感銘を受けたことがありましたが、野蛮の極みに思えたマヤ・アステカでの生贄文化も根本はそれと同じことだったのですね。
本作は「生贄」という風習に疑問を持ったキャラクターたちが、それぞれの信念のために戦って時代を変える、といった物語。
わりと重厚なストーリーのはずですが、登場人物たちのセリフが「○○じゃん」とか「しょうがねえなぁ〜」とかいうような現代風のくだけた言い回しのためにサクサク読めると同時に、あまりシリアスに受け止められなかったと言いますか。
そもそも生贄の風習に疑念を抱くこともそうですけど、主要キャラクターたちが当たり前のように現代的な合理主義でものを考えているために、せっかくマヤ文明ベースの世界なのにその世界にあるはずの独自の価値観があまり感じられなかったのは残念でした。
とはいえ、応援したくなるような魅力的なキャラクターが多数登場するので、『進撃の巨人』などのような「残酷な描写のあるマンガ」として読む分には十分に楽しめました。
ところで、本作は600ページを超える大作で、まるで辞書のような分厚さであり、巷では「鈍器本」と呼ばれています(笑)
読む前にそのことを知ったので、普段は紙の本を読んでいますけれども、今回は電子書籍で購入。
重たい本を持ち歩くことを回避することができ、電子書籍の手軽さをありがたく感じました。今後もページ数の多い本はスマホで読もうかな。文明万歳。
