『縄文神社 -首都圏篇-』 武藤郁子著 2021年
縄文神社とは、境内から縄文時代の遺跡が発掘された神社のこと。つまり一万年もの間、祈りの場所であったということです。
著者が縄文神社を探しているうちに気がついた共通点は次の4つ。
①台地の上
② 湧水(水源)がある
③ 水辺につき出した土地の先端(岬・島)
④ 霊山の形が綺麗に見える
うーん、興味深い。
現在よりも内陸に海が進出していた縄文時代(7000年前)の地図も示され、その地図を見ると特に③は分かりやすくて面白かったです。
この本は「首都圏篇」ということで、埼玉・東京・神奈川・千葉に限定して紹介されています。
埼玉で言うと、武蔵一宮氷川神社、鷲宮神社、三峯神社など、著者も書いていますが縄文神社は「知る人ぞ知るすごい神社」であろうと予想していたところが「みんなが知っているすごい神社」も数多く選ばれているのも意外といえば意外だし、順当といえば順当ですね。
個人的な話になりますが、これまで演奏を依頼されて訪れたところはなぜかほぼ縄文土器が発掘されるような地域ばかりであったことが驚きでもあり、そのような地域に住む方々がアメリカ先住民の文化やフルートの音色を好むのはごく自然なことのようにも思えます。
非常に興味深い本ですが、女性が書いているからなのかターゲットが女性だからなのか、ところどころで「そんな感じがした」などのようなふわっとした物言いをされるのが男性読者としてはちょっと引っ掛かりました。
文字数も少なく、もうちょっと学術的に一歩踏みこんだ記述があれば読み物としてもっと説得力を増したと思いますけど、持ち歩くガイドブックとしては十分な情報量ですし、載っている神社に行ってみたい気持ちにはなります。
早速、まだ訪れたことがなかった寒川神社に行って来ました。
ちなみに寒川の「サム」は「冷たい・清い」で、「カハ(ワ)」は「泉・池」という意味で、御殿の奥にある「難波の小池」という湧水が神社の創祀に深く関わりがあると伝えられているそうですよ。
以前にもブログに書いた覚えがありますが、神社は自分自身と向き合うために訪れるべきところです。
イベントとして人で賑わう神社へ初詣に行くのも良いですけど、是非人気の無い静寂の中でも訪れてください。