『ハリー・ポッターと賢者の石』 | Wind Walker

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ネイティブアメリカンフルート奏者、Mark Akixaの日常と非日常

ハリー・ポッターと賢者の石 (1)

 

『ハリー・ポッターと賢者の石』 J.K.ローリング著 1999年

 

 

前回は人気児童文学を読んだので、今まで本も映画もひとつも見たことがなかったハリー・ポッターの第一巻をついに読んでみました。

 

あらすじは・・・皆さんの方がご存知でしょうから今回は省略します(笑)。

 

どうしても直近に読んだ『パーシー・ジャクソン』と比較してしまうのですが、話の展開は本当によく似ていました。

 

途轍もない血筋をひく、しかし自分の出自をまったく知らない主人公が学校に入って寮の対抗戦で活躍するとか、その学校に現れるはずのない怪物が現れるとか、主人公と仲良しの男の子と賢い女の子が3人組になるところとか、事件の黒幕は思っていた人物とは違ったところとか。

 

 

しかし物語全体を覆う雰囲気はまるで異なります。『パーシー・ジャクソン』はカラッと晴れた青空の下でハンバーガーを頬張っているような能天気さがありましたが、『ハリー・ポッター』はいつも霧で覆われているような雰囲気があります。

 

音楽でもアメリカとイギリスとではそのような違いがありますけど、児童文学でも同じ違いがあるのを発見したことが面白かったです。

 

あと『パーシー・ジャクソン』は剣で戦っていましたけど、『ハリー・ポッター』の場合は魔法と知恵なので子供たちが活躍することにさほど疑問を抱かなくて済む設定であることもヒットした要因でしょうね。

 

ただ敢えてストーリーに難癖をつけるとすれば、悪役がはなから賢者の石を手に入れることは無理だったので、ハリーが阻止しに行く必要がまったく無かったというのがちょっとだけ気にかかりましたよ。

 

 

物語自体も面白かったですけど、この世界的ヒット作を生活保護を受けているシングルマザーが書いたという事実や、日本ではそれを弱小出版社が出版したということも、「小さきもの、弱いものの中にだって大きな力が秘められている」という作品と同じメッセージを体現していることが本当に面白いし素敵です。

 

でも最大のヒット要因は「児童書を書いたという意識はない。自分が楽しめる本を書いた」という著者の言葉にあるのでしょう。

 

まさにそれこそがアートの本質。

 

 

 

 

せっかくなので映画の一作目も観てみました。

 

話は原作に忠実で世界観も壊さないどころか読者のイメージをさらに超えるようなものを提示するのに成功したことであんなにもヒットしたのでしょう。

 

個人的にはキャスト全員をイギリス人にしたというこだわりが良かったです。イギリス英語をたっぷりと堪能できて。(こればかりは本では味わえない醍醐味ですね!)

 

 

ただやはり映画よりも本のほうがオススメだったので、映画しか見ていない方は是非ぜひご一読を。