『金瓶梅 天下第一の奇書』 | Wind Walker

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金瓶梅―天下第一の奇書 (中公新書)

 

『金瓶梅 天下第一の奇書』 日下翠著 1996年

 

 

中国の「四大奇書」をご存知ですか?

 

『西遊記』、『三国志演義』、『水滸伝』、そして『金瓶梅』がそう呼ばれています。最初の3つは有名ですが、『金瓶梅』はちゃんと読んだ人はおろかどんな話か知っている方もそれほど多くないのではないでしょうか。

 

知っている人からは「ただのエロ話」という評価をもらうような中国版の『源氏物語』あるいは『大奥』のような話で、中国では歴史上何度も発禁処分を受けていて現在でも全面的な出版許可は下りていないそうです。

 

『黒死館殺人事件』は日本の三大奇書でしたが、その奇書とは「奇怪な書物」であったのに対し、中国でいう奇書は「世に稀なほど卓越した書物」という意味。

 

そのような誉れ高い本がただの猥本であるはずもなく、本作では『金瓶梅』が『水滸伝』のエピソードから派生していることや元のエピソードとの相違点、どうでもいいような細々とした描写がしつこいほど繰り返されるのはリアリティーの追求であるなど、作品の解説や読み方を教えてくれます。

 

 

 

ただ原作を読んでみようというほどには興味が湧かなかったので、竹崎真実さんの漫画をちょっとだけ読んでみました(現在45巻まで刊行中)。完全なるレディースコミックですが面白いです。

 

1人の男性を6人の美女が悪知恵を駆使しながら取り合う濡れ場満載の話で、漫画で読むくらいが丁度良いような気もします。原作を読んでいないので断言はできませんが。

 

 

 

ところで中国では現在、四大奇書から『金瓶梅』を外して『紅楼夢』を加えたラインナップを「四大名著」と呼び、そちらが主流になっているとのこと。

 

やっぱり自国の誇りとするにはエロすぎたのでしょうね。