『地球のなおし方』 | Wind Walker

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ネイティブアメリカンフルート奏者、Mark Akixaの日常と非日常

地球のなおし方

『地球のなおし方』 ドネラ・H・メドウズ、デニス・L・メドウズ、枝廣淳子著 2005年

 

 

昨年、環境少女グレタさんが「地球環境が危機的なのに、大人たちは経済のことしか考えてないなんて!」と叫ぶ姿には大いに共感を覚えましたが、冷静になってみれば自分も糾弾されている側の一員でした。

 

大人としては単に誰かのせいにして済ますのではなく、どうしたら良いのかを真剣に考えなくてはならないことに改めて思い至ったので、今回はこの一冊。

 

 

この本の第1章ではどのようなシステムで環境破壊が起きているのか、第2章では食料や水、化石燃料などの資源がどれほど危うい状況になっているのかを教えてくれます。

 

しかし面白いのは第3章。このまま行くとどのようなシナリオが待っているのか、どこをどう変えたら未来が変わるのかというシミュレーションをグラフで示してくれるのです。

 

いやはや、驚きました。

 

多くの場合のシミュレーションが示すには、人類の発展のピークは2020〜2030年頃。そこからは坂を転げ落ちるように資源は枯渇し、工業生産、食料、人口、寿命が激減します。

 

 

唯一この悪夢のような未来を覆すシナリオは、人類が経済成長を目指すのを止め、出生数を抑制し、「足るを知る」姿勢でシステムを立て直した場合のみ。

 

 

しかも変化を起こすのが遅れれば遅れるほど手遅れの状態になるという崖っぷち状態に我々がいることが分かります。

 

この現状と危機感を、一人でも多くの方に共有していただきたいです。・・・もう既に「終わりの始まり」が起こっているような気もしますけど。

 

 

もちろん国や自治体、大企業などが動いてくれないとどうにもならないことですが、彼らを動かすのは我々庶民の声なので、私たちがこういった事にもっともっと知識と関心を持たなければ世界が破滅の道へ突き進むのを止めることはできないのでしょう。

 

変革に向けた5つのアプローチは、「ビジョンを描くこと、ネットワークをつくること、真実を語ること、学ぶこと、慈しむこと」だそうです。まずここから始めましょう。

 

環境問題を学ぶ第一歩としてはとても良い本でした。

 

 

 

 

 

グレタさんに関しては「背後の団体に操られているだけ」とか「ただのパフォーマンス」とかいう批判もありますけど、ただ我々が未来の世代に残すべき資産を根こそぎ使い果たす生き方をしてしまっているのは間違いのないことです。

 

我々が必要なのは彼女を貶めることでも英雄視することでもなく、環境問題を喫緊の課題として真剣に捉えることだと思います。