『風に立つライオン』 | Wind Walker

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ネイティブアメリカンフルート奏者、Mark Akixaの日常と非日常

蓼科で出演予定だったイベントが台風を考慮して開催前日に中止となってしまったのですが、実は3連休は原村まで行っていたのですよ。

 

台風のスピードが予想以上に遅く、長野を通過したのは深夜になってから。

 

イベント当日の日中は小雨がたまにパラパラ降った程度で、「これなら全然できたのにね」というのが地元で聞かれた声でした。

 

もうね、全国のイベント関係者は私を照る照る坊主として雇えばいいのに。「晴れ男」という職業はないのだろうか?

 

 

さて今回は、原村の小林節子さんに「被災地の話なのよ。素晴らしいわよ」とおすすめいただいた小説をご紹介します。

 

 

『風に立つライオン』 さだまさし著 2013年

 

 

私はさだまさし氏の書いた本を読んだことがなければ、歌も正直そんなに知らないので、「でも所詮、芸能人が書いた本でしょ」と軽い気持ちで読み始めたら泣いてました(笑)

 

 

「風に立つライオン」は1987年に発表された、さだ氏の代表曲。アフリカで巡回医療を行った実在の医師、柴田紘一朗さんをモデルにしています。

 

小説でも前半は歌詞の通り柴田氏をモデルとした日本人医師のアフリカでの物語で、後半はその医師に育てられたアフリカ人青年がやはり医師として東日本大震災直後の石巻に来る話。

 

 

物語は何人かの登場人物の口述形式で進むのですが、幾人かの口調が時々さだまさし本人の口調そのまんまであることに苦笑しつつ、「まあ本職の小説家じゃないから」と途中まで舐めてたんですけども・・・終盤の破壊力は凄まじいの一言。

 

この人は作家としてもミュージシャンとしても大きな成功を収めていますが、その秘訣は簡単に言えば「人間力」。さらに踏み込んで言えば「人間の弱点をよく知っている」ということなのです。

 

心の琴線とか涙腺とか、どこをどう刺激すれば人の心が動かせるのかを心得ている、まったくもって卑怯な男です。(褒め言葉です。笑)東日本大震災を出してくるあたり、本当に卑怯極まりない。

 

しかし単なる思いつきで書いたのではなくて、被災地の取材も相当綿密に行われていて、半分フィクション、半分ドキュメンタリーというような感じが面白かったです。

 

 

未見ですが、2015年に映画化されたらしいです。

 

俳優さんの大仰な演技と、泣かせる場面で流れるわざとらしい音楽に私は白けてしまう性質なので(この二点さえ改善してくれたら日本映画のクオリティは跳ね上がるでしょうに)、泣けるという触れ込みの日本映画はなかなか観る気になれないのですが、活字で読むときは情報が足りない分を自分でいい塩梅に背景や心情などを想像して補うので素直に泣けるのでしょうね。

 

個人的には全然好きなタイプの物語ではないのでちょっと悔しい気もしますが、これはおすすめと言わざるをえない。

 

日本人なら誰しも感動してしまうことでしょう。

 

 

 

 

 

ところで、毎年恒例のインディアンフルート発表会、「Flute Gathering 」は今年は11月19日です。

 

司会はいつものように小林節子さん・・・と思っていたのですが、スケジュールの関係で今年は他の方に司会をお願いすることになりました。

 

こうしてジャッキーさんが原村の小林節子さんを「原節子さん」と呼び間違える危険は回避されましたが(笑)、節子さんの軽妙なトークを楽しみにしていた皆様には大変申し訳ありません。