医療コンサルティングSの高野です。
2019年4月から、働き方改革がスタートしました。
残業をさせない、有給を取らせるというような規定が定められたため、医療機関でも対策が必要になってきています。
単純に、定められた規定を守るということであれば、有給消化が一番大きな問題として出てきます。
特に非常勤パート社員の有給をどう考えるのかということをよく質問されます。
まあ、有給を取らせるしかないので、取らせてください。
としか言えない部分もあります。
根本的な解決ではないですが、有給取得分の人件費増をカバーできるだけの仕組みを作れるのかどうかだと思います。
人件費増が当たり前だと認識していただくしかないのです。
医療機関ではたらく人の給与水準は高いとは言えません。
医師の時給と比較すると、大きな格差があります。
医師レベルまで人件費を上げろということでは全くないですが、人件費をあげることを覚悟して経営していなくてはならない時代だと思うのです。
給与問題はまたの機会に話をしましょう。
さて、働き方改革への対応をどうするのかですが、これは、職場環境をどう作るのかということが問われると考えていただきたいと思います。
今回の働き方改革の中で、有給消化の問題は医療機関の場合ほとんどクリアされているように感じます。
有給を取らせないというような医療機関は減ってきています。
ただ、雇用する側である院長先生、理事長先生の中には有給を取るということに対して、ネガティブに捉えているケースもまだまだあるようです。
働かずしてお金が貰えるとは何事かという本音も見え隠れしている経営者もいます。
しかし、この考えは、もう時代とかけ離れています。
休みが取れない環境で働きたくないという意見が多いです。
就職先を決定する際に多いのは休みが取れるのかということのようです。
求人募集を成功させるためにも、有給消化の制度は重要です。
現在、新しい人員を採用することが難しい時代になっています。
ここ10年で環境が変わっています。
次々に採用できるような時代は、とうに終わっています。
今いる職員が長期に渡って勤務できるか、新しい人員を採用しなくてもいい状態を維持する必要があるのです。
つまり、離職率低下実現です。
離職率低下を実現するために、最も重視されるのは、有給を含めた休みを取れる環境にあるかどうか。
今まで離職率低下を目指していた医療機関では、有給取得率をあげることからスタートしていました。
当然、有給を取得できるような環境を作る必要があります。
今の人員構成で有給を取れる状況にあるかを分析していくと、組織の問題点がわかります。
・総人員数と勤務実態のムラ
・判断業務レベルのムラ
・知識共有レベルのムラ
などなど、調査項目が多くなりますが、多くのムラが存在しています。
その中で特に注目されるのが、
・一人の優秀(ベテラン)職員に頼る態勢
であるかどうかです。
一人に頼る組織では、離職率も高く、有給消化率も低くなります。
この態勢を変えることができるかが、ポイントです。
新しい仕組みを作り上げる必要があります。
働き方改革を推進するためにも、組織の業務の仕組みを変える必要があります。
働き方改革でも要求されている年間5日間の有給取得もできない組織では変化に対応できません。
組織のあるべき姿を再度定める必要があります。
