医療コンサルタントの高野昌則です。
先日お伺いした歯科医院でのこと。
「今、この歯磨き粉を売っていますが、別に商売じゃあないから、あんまり利益は乗せていないいんだよね」
「これはいくらで仕入れて、いくらで売っていますか?」
「1,000円で仕入れて、1050円で売っています」
絶句・・・・。
「それだと利益は全くないですが、いいんですか?」
「まあ、いいんじゃないかな」
「あのー、今まで仕入れた分を全部売ってきたんですか?」
「いや、販売期限があるから、3分の2くらいなか」
「じゃあ、値段を上げましょう」
医院内で商品を販売している場合、多くの医院様ではそんなに利益を乗せていないケースがあります。
そのような医院様には、売価の改定をお願いしています。
それは、こんな理由です。
商品を仕入れることは、リスクを背負うことになります。
仕入れを行った後に、販売していきますので、どうしても商品仕入れのコストと、売上では時間的なズレが生まれます。
小売店の場合、少なくとも販売して2割以上の利益を上げておかなくては、成立しません。
なぜなら、商品を仕入れた場合、売れ残りになるケースや、商品の破損、万引きなどを意識する必要があるからです。
これを考えていくと、利益は高い方が経営は安定します。
例えば、1,000円で商品を仕入れて、1050円で販売した場合、
売上高は1050円、原価は1,000円ですから、50円の儲けです。
しかし、消費税を考えると、利益は全くありません。
この場合、1,000円の商品を販売するために、従業員の方の手間がかかります。
もし、時給600円のアルバイトが、この商品を販売するために、説明をし、お金をもらい、商品を袋に入れて、患者様に渡すまで、2分間かかったとしたら、20円かかります。この段階で、20円の損失を生むこととなります。
商品を販売することが、本来の目的ではない医院の場合では、利益を取るという行為が罪悪のように感じるケースもあります。
しかし、販売行為を続けるためには、お金がかかります。
これをサービスとして考えているのであれば問題はありません。
ずっと、損失を生み出し続けてください。
しかし、本来商品を販売するということは、商品を入手できない方に商品をそろえ、手元まで持ってくるという価値を提供しています。
この新たな価値が、利益なのです。
ドクターが、薬品などを説明するという行為は、当然対価をいただいていると思います。これが診察料であるわけです。
しかし、商品を販売する際には、診察料だけではまかなえない費用がかかるのです。
最低の利益は乗せて販売してください。大きな医院はそのままで構いませんよ。しかし、規模が小さくなればなるほど、この小さな損失が医院経営に大きな影響を与えるのです。
小売業の場合、最低でも最初の値段設定では、30~40%の利益を乗せています。
こうしなければ、安定的に商品を提供し続けることができないからです。
皆さんの医院で販売しているものは問題ありませんか?
(例)目安としては、
原価 × 1.5~1.6倍 を販売価格として計算していただけると簡単です。
先ほどの1,000円で仕入れたものは、1,500~1,600円で販売しなければ、
安定した商品供給が出来ないのです。
注)コンタクトレンズの販売価格については、この範疇に入らないケースもあります。