技能実習制度は、3年から5年の期間、母国への技術移転を目的として日本で技能を学ぶ制度だ。建前はそうなっている。だから制度そのものに日本で定住することを前提とした構築がされていない。そもそも、実習生が妊娠、出産することなど、制度から考えれば想定外の出来事と言える。
ベトナムで実習生の募集を行い、面接して、合格した子たちには、あくまでも技能実習として日本へ行くのだから、恋愛はしてもいいけど、子どもができたらいろいろと大変になるので、帰国してからにしてね。とお願いはする。本人達もそのことは十分理解している。だから、ベトナムで面接合格から出国までの約6ヶ月の間、妊娠してキャンセルになったという事例はほとんどない。たまたま彼氏が自分の彼女の出国を認めず、妊娠させてしまったということはあったが、技能実習で日本へ行くと決めた子たちで、妊娠して行けなくなったというケースは私の14年の中でなかった。
若い子たちだから、性欲はたくさんある。貞操観念が厳しいベトナムにおいても、男女が一緒に勉強していれば、そういう関係になる子はいるのは事実。ちなみに私どもの送出し機関の周りにはラブホテルが結構ある。そこにうちの生徒が出入りしているようだが、妊娠事件は起こさない。当たり前だが、実習生たちも自己責任で楽しんでいると思う。
それではどうして日本の実習期間中に妊娠事件が勃発するのか?
やはり技能実習はベトナム人にとって、かなりのストレスフルなのだろうと思う。精神的にきつい。私たちが立場を変えて、ベトナムへ働きに行ったとすればよくわかる。日本人ならば、ごはんにお味噌汁は必須。だいたい飯が違うとかなり精神的に病む。その上、日本とは全く違う環境、言葉もよくわからない。日本人がベトナムにいって、それなりに馴染めるのは結構大変である。振り返ってベトナム人も日本に馴染むのは正直厳しい。
まして、ベトナムと違い、時間に厳しく、仕事もきつい。ルール、ルールと言われ、単純な作業をずっと繰り返す。少し手抜きをすれば注意され、日常生活までいろいろと口を出され、息抜きにアパートでカラオケをやれば、うるさいとクレームが入る。酒を飲んでどんちゃん騒ぎをすれば、それこそ警察まで呼ばれてしまう。
そんな精神状態のときに、同じ悩みを抱え、同郷の異性に惹かれても、そりゃ仕方ないよねと思う。若いから勢いでそういう関係にもなるだろう。そのとき問題になるのは、避妊である。
これは私の個人的主観で話すので、全体がどうであるかはわからないが、ベトナムの場合、避妊はどちらかというとピルがメインであるように思える。ホーチミン市内でもあちこちに薬屋があり、1錠でも簡単に薬を売ってくれる。外国のコンドームは厚いのであまり人気がない。日本のコンドームは非常にいいのだが、金額が高いので買えない。日本の場合、ピルは医師の処方でないと手に入らないので、避妊のほとんどがコンドームである。
さて、ここで実習生たちがコンドームを使うかどうか・・・。バイクで手軽に買いに行けるわけもなく、また少しでも余計なお金を使いたくない彼らからすれば、たぶん買わないだろうと想定ができる。となれば、避妊の方法は限られてくる。妊娠の危険性が高くなるのは間違いない。
(余談だが、知り合いのベトナム人男性に聞いた話だと、どうやら継続時間よりも回数が多いらしい。だから余計に妊娠率が高いらしい。)
実習生たちが日本で実習中に妊娠を望んでいる子はいないでしょう。ほとんどの子が出会い頭の事故で、あっ妊娠してしまった!という状況である。ただ妊娠したことで自分の愛する人の子どもを産みたいと思う子もいるはずなので、それはきちんとケアすべきであると思う。日本人だって同じ事。できちゃった婚もあるわけだから、そこはお互い様。
子どもを作っちゃいけないのは実習生達も十分にわかっている。でもそれでも妊娠してしまったら、そのときは最大限本人達の意思を尊重して、彼らがどうしたいのか十分考慮して支援するのが、彼らを招へいした私たちの責任であると思う。
私たちは物を呼んだのではなく、人を招へいしたのだから。
もちろん技能実習生を使うということは、制度上は実習といえども、本音は人手不足であるから、猫の手も借りたい状況であるのは重々承知。妊娠した子のリタイアはきついけどね。
非人道的制度と言う前に、オリンピックと同じように実習生にコンドームの無償提供も必要じゃないかと思うよ。


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