ベトナムの送り出し機関の運営をやっている身として、この件はやはり一言話をしなければならないことだと思いまして、今回のブログを書こうと思っています。ちなみにこの借金問題、技能実習制度の括りとして捉えるのは間違っております。フィリピンに関しては労働者から手数料を取ってはいけないことになっております。出国前の日本語教育は全て採用する日本側の会社が負担致します。フィリピンの送り出し機関の収入は、入国した後の送出し管理費のみです。端的にいえば、この借金問題を解決するためにはフィリピンからの実習生にすれば良いことです。
それではどうしてベトナムを中心とした国からの送り出しが多いのかは、受け入れる会社にとって採用費用が安いからです。後は実習生の教育体制などの違いもあります。
ベトナムの場合、送り出し機関の派遣手数料は法定では3,600ドルです。但し、この中に入っている日本語教育の期間は1ヶ月。通常受け入れ会社が負担する教育費はこの1ヶ月の15,000円のみ。その他かかる教育費については実習生本人が負担しております。技能実習法で指定されている日本語教育期間は2ヶ月、これではせいぜいひらがなを覚えて片言のあいさつ程度しかできない。受け入れ会社としては意思疎通にはどうしても日本語が必要なので、せめてN4相当の力を要求するなら、最低6ヶ月程度の教育期間が必要となります。ここに制度の矛盾があるわけで、そもそも実習なのだから日本語は形だけできればいいという考えで制度設計されているわけで、会社側との考えが違います。
N4やN3レベルまで実習生の日本語能力を引き上げるには、元実習生上がりの教師ではダメ。きちんと教育ができるベトナム人教師が必要。となると、それなりの経費がかかるのは当然となるわけです。まず借金をできるだけ少なくするのであれば、ほとんど日本語が話せない実習生でも問題なしと思ってもらわないとダメです。「金は出しません、それでも日本語の喋る良い人材を下さい」はあまりにも都合の良い考えです。
参考として、ベトナムでは送り出し機関へ支払う手数料等は、ハノイで7〜8,000ドル、ホーチミンで4〜6,000ドル程度だと思って下さい。全般的にハノイの方が2,000ドル程度高いです。送り出し機関の80%はハノイに本店を構えています。北からの実習生の方が高く手数料を取られています。
よく100万とか150万とか借金しているという実習生がおりますが、それがどこまで本当なのかどうかはわかりません。実習生本人というよりも親が借金しているケースがあり、その金額を混ぜて話している場合が多いのです。
例えば本気でこの借金問題を解決させたいと思うのなら、やることは一つ。日本政府がそれぞれの国に日本に就労を希望する人たちの教育機関とハローワーク等の機関を設けて、日本政府が責任を持って人材の募集から教育、それから日本で働く会社への斡旋を行えばよい。まあ莫大な税金を投入することになるから、まずやらないだろう。となると民間に任せる形にならざるを得ない。そこに営利を求めないようにすることは難しいから、この問題はずっと続くことになると思います。
現実的にこの問題を縮小化させるのであれば、まずは面接における接待を可能な限りなくすこと。1回の接待でかかる費用は10〜20万円ぐらいかかります。この場合、渡航費とホテル代は会社持ちとしてもです。空港からホテル、ホテルから送り出し機関までのレンタカー代及び夕食代1回ぐらいなら送り出し機関側が負担しても大丈夫ですが、通訳をずっとアテンドでつけ、マッサージや夜のお遊び、観光まで付き合わされることになると、上記の費用ぐらい簡単にかかります。
次に面接候補者の人数を1.5〜2倍程度にしていただきたい。コロナの後はベトナム自体も人手不足の状況で、履歴書1枚5万円取られております。ですから10人面接で集めるだけで50万かかります。人数を多く集めるために送り出し機関ではやむなくサクラを使うケースも多く、入ったばかりの社員を面接させたという話もチラホラ聞きます。面接合格後、キャンセルが出たというケースは間違ってサクラを選んだということが多いと思います。
またブローカーを介在させるなと言っても、ブローカーを通さず人集めができる送り出し機関は、それなりの自社社員の人数を使って各地域で人脈を作っています。それにはブローカーに支払うよりももっと費用が掛かっているケースも多く、簡単な話ではありません。ブローカーと言っても、地域の世話役や人民委員会、学校の先生やお坊さんなどもおり、そういう方々からの紹介もあります。タダでは人は動きません。そこには必ずお金が介在することは当たり前です。日本の常識をあまり押し付けないでほしいと思うのが正直な感想です。
さて、この借金問題。私からすれば、投資とも言えるかなと前から申しております。50万投資して3年後に300万のリターンだと思えば、決して悪い話ではないけど、これを借金と称してそもそも借金させて日本に連れてくること自体悪だと言われてしまうと、この制度根本から成り立たなくなってしまいます。
ベトナムで言えば、人を集める求人に関する費用、日本語教育費用、6ヶ月仕事をしない間の寮費及び食費、面接費用なと。これらを全て実習生本人が負担していたものです。これを会社が負担するとなると、少なくとも30〜50万余分にかかることになると思います。できるのですか❓
またどこまでが適正な手数料でどこからが不正な手数料となるのか、その線引きも難しいところです。まあ何度も言いますが、日本政府が自ら管理しない限り、この問題はずっと続くと思います。

