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この技能実習制度関係の記事は、取材内容の裏取りをきちんとしていないケースやそもそも取材している記者の制度への理解不足が、この制度の誤解を招いていることがあまりにも多いです。
下記の記事もそういう記事の一つです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3c9bc3aa6ead0a5209ea545369a46b153ae5d0f8?page=1
記事抜粋
ヴァンさんの日本での月給は8万~10万円だった。決して多いとはいないが、それでもベトナム人の平均月収の3倍だ。母国に住む7人家族を養うには、大きな収入といえる。この月収の中から、ヴァンさんはアパート代を払い、自らの食料を買い、残ったお金をすべてベトナムの家族に送金している。ヴァンさんが自由に使えるお金は月2万5000円ほどだという。このようにヴァンさんを含む技能実習生たちの多くは低賃金で働いているが、同様に彼らの多くは仲介料や研修費など100万円以上の借金を背負っている。
抜粋終了
まず間違いなくヴァンさんの月給が8〜10万円という書き方はおかしいです。これだと最低賃金を切っているので違法ですし、あり得ない。税金や社会保険料、家賃などを控除して手元に残るお金ならば、理解できます。もうこういう印象操作は本当にやめていただきたい。
愛知県内で仕事をしていたようですから、最低賃金は926円です。(10月1日に改正があり、現在は927円)1日8時間労働して、月20日稼働したとすると
926円×8時間×20日=148,160円 これが最低賃金の月給となります。もちろん残業なしの計算です。このヴァンさんが勤めていた会社の定時時間と月の稼働日数とは限りませんが、この近い数字になるはずなので、そもそも月給8〜10万円という表現が適正ではないということを理解できると思います。
また実習生の借金ということで100万円以上と書いていますが、適正に頑張っている送出し機関の名誉もあるので、平均の手数料の金額を改めて書いておきます。
ハノイの送出し機関 6,500ドル〜8,000ドル
ホーチミンの送出し機関 5,000ドル〜6,000ドル
ベトナムで決まっている派遣手数料は、3,600ドル。プラスの部分は寮費や食費などの金額です。悪徳な送出し機関ですと、そこにブローカーへの手数料や監理団体へのキックバック、過剰な接待費も含ませるので、100万円を超える借金になります。
彼らの多くは・・・という表現はこれも印象操作です。具体的なデータを取っているのか、取材した実習生たちにどの程度の手数料を支払ったのかを聞いているのかどうか、私から見れば世間がそういっているのだからという思い込みで書いているとしか思えません。多くが100万円を超える手数料を取られているというのなら、やはりデータを取って確認していく必要があります。
昔は技能実習制度=低賃金と言われていましたが、今は低賃金というよりも、仕事の定着率から考えると明らかに実習生の採用が良いのです。派遣社員や日本人が来ても、数ヶ月でやめられてしまうことを見れば、3年間でも確実に仕事をしてくれる技能実習生を経営側として使いたがるのは、わかると思います。
どうもこの技能実習制度に関わる取材、どうしても実習生の借金や低賃金、劣悪な労働環境の話でセンセーショナルに持って行きたがりますが、この制度の裏側にある根本的な問題をクローズアップしている記事が本当に少ないと思っています。
この制度の大きな問題点は
「国際貢献、国際協力の名の下に、外国人労働者を技能実習という建前で使うこと」
「移民を受け入れないという国是のために、技能実習制度を使うこと」
「この制度の裏側に、日本人労働者の貧困問題も絡んでいること」
「一部の既得権者が儲かる仕組みを作っていること」
「政府はこの問題を民間へ丸投げし、責任を取らないこと」
などがあげられます。
この制度を取材されている方々、もう少し物事の本質を見抜く目を養ってください。

