この技能実習制度を受け入れる会社が1番気にするコストは、月々監理団体に支払う1人当たりの監理費です。監理費には監理団体(日本側)がもらう分と送出し機関(ベトナム側)がもらう分とそれぞれ分かれますが、だいたい一括月いくらで設定することが多いです。
では日本側がもらう監理費については、1人あたり月額20,000円〜60,000円の間になります。ベトナム側では1人あたり月額5,000円〜20,000円の間になるだろうと思います。ですから、会社が考える月々のランニングコストは実習生本人に支払う給与、社会保険料、そしてこの監理費となります。
例えば群馬県の最低賃金(835円)として、1日8時間、月21日稼働とすると、給与総額は約14万円、社会保険料は会社負担分約2万円、そこに監理費を4万円とした場合、会社が月々支払う金額は約20万円。大学卒業の初任給ぐらいになります。こうやって見ると技能実習生は決して低コストの労働者ではないと言えます。よく技能実習生を雇うことで日本人の雇用機会を奪うという論調の非難を受けることがありますが、この仕組みを知っている者からすれば、論点がずれていると思います。
人手不足の会社からすれば、もし日本人が採用できるなら、日本人を採用するに決まっております。言葉の問題もない。習慣や価値観の違いもない。監理費や採用にあたっての初期費用など余計なお金がかからない。どう考えても、外国人の方が使いづらいし、コスト高になるのです。
では、どうして多くの会社が決してコスト的に安くない技能実習生の採用に踏み切るか・・・。理由は簡単です。仕事を辞めない、残業を厭わない、休まない、真面目に一生懸命、上司の指示をよく聞く、言葉の問題があるとはいえ、日本人の若者よりしっかりしているので、会社としては使いやすい人材なのです。ですから、一度技能実習生を使い始めた会社は多少コストが割高であっても、すぐに辞めてしまう日本人よりも重宝するのは当たり前です。日本人の雇用機会を奪うというよりも、日本人の質の低下が外国人の採用を助長している側面があることも知っておいていただきたいと思います。
さて、この監理費ですが、どうして必要となるのか。よく受入れ会社側から監理費を下げて欲しいという要望が上がります。彼らからすれば、右から左へ人を動かすだけで手数料が入ってくるおいしい商売と思っているようですが、派遣会社においては派遣単価と本人に支払う時給の差額が派遣会社の粗利になるように、監理団体にとっては監理費が粗利であるため、この監理費の金額によって、その監理団体のできることが変わっていきます。
監理費が4万とした場合、100人の受入れをしている監理団体の場合、月額売り上げはざっくり400万円。年間では4,800万円となります。人件費及び諸経費などを考えると役員1名、事務局長1名、日本人職員1名、通訳1名の計4名での運営でだいたいトントンだと思います。ですから、これが監理費2万の場合、100人受入れで200万とみれば、職員数3名が限度。監理費の安い監理団体ほど巡回などに手を抜くことは当たり前なのです。
もちろん、高い監理費を取りながら、まともに巡回をしていない監理団体に監理費の減額を要求するのは良いと思いますが、しっかりやられている監理団体に監理費の減額を要求することはどうなのでしょうか?
監理団体がかかる経費は、技能実習法で規定されている巡回や支援などをきちんとやった場合、どこも大して変わりません。最低3万円は必要です。それ以下の場合、例えば受入れ人数が10人以上なら、25,000円程度でもやれると思いますが、2人とか3人ならば、正直な話赤字です。それでも安い金額でできる監理団体があるとしたならば、その分の足りない費用を他でカバーしている可能性があるということです。
どうしてキックバックや一人あたりの紹介料があるのか、ここにその理由があります。そう監理費が極端に安い監理団体は、その分送出し機関を通して、技能実習生本人から不足分を徴収している可能性が高いということです。もちろん表に出ない形にして、機構の監査でも簡単にわからないようにして、ですね。
監理費の金額によって、その監理団体の良し悪しがある程度わかります。適正な監理費の金額は一人あたり月額3〜5万円、送出し機関への監理費は5千円〜1万円、だいたいこの辺が相場です。監理費を安くするためには、例えば1年目、2〜3年目、4〜5年目と金額を下げていく方法、受入れ人数によって金額を下げる方法があります。これはそれぞれ交渉してみてください。それと、監理費とその監理団体の受入れ人数がわかれば、その監理団体の売り上げが想定できます。その売り上げにあった職員数を抱えているかどうか、そこで適正な形で運営されているかどうかがある程度想定できます。
まああまり安い監理費の監理団体は、いろいろと問題がありますよということです。気をつけてください。



