【特定技能】この入管法改正の問題点とは? | 続・奥様はベトナム人

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ベトナム人の妻と協力しながら、外国人技能実習生や特定技能などの外国人労働者受入に関して、監理団体や送出し機関、それから技人国などの情報を提供していきます。

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 法案が設立し、すでに今年の4月に施行されている「特定技能」。すでに施行後半年が経過しておりますが、当初の受入人数の約2%程度しか許可が下りず、「移民法」だと大騒ぎしたことが肩透かしのようになっております。この在留資格が新設されたことによって、日本全体の人手不足が大きく改善するとして、ビジネスチャンスと思われた人材ビジネス関係の人たちは「介護の二の舞か」と大きくため息をついていると思います。

 

 そもそもこの改正案、法案提出から成立に至るまで、異常な状況でした。ほぼ1年前の話ですが、もう皆さんはこの法案の異常性をすっかり忘れて、今は「桜を見る会」の追求に躍起になっております。だから本当のことがわからないのですよと言いたいのですがね。

「喉元過ぎれば熱さ忘れる」 今だからあえて問題点を提起しておきます。

 

 今回は本来法務省が主導して、「特定技能」の成立を行うべきでしたが、なぜか主導したのは経産省。平成30年6月の「骨太の方針」に外国人材の受入とその環境整備をうたい、ここで「特定技能」という新たな在留資格で円滑かつ適正な受入の促進を言っております。

 

  そしてほぼ唐突にと言っても良いと思いますが、秋の臨時国会にて法案成立に政府が動き出したのです。官邸が産業界からの要望に応えたのでしょう。

 

 しかし、そもそも「移民の受入は行わない」という大前提がある以上、新しい在留資格は外国人の単純労働者の受入であってはならない。何らかのフィルターを通しての受入でなければならないのです。技能実習があくまでも国際貢献、国際協力の名の下で日本の技能を母国へ持ち帰るという前提条件があるのも、そういう理由です。そして「特定技能」は技能試験と日本語試験に合格した優良な外国人が日本に働きに来るという理由で受け入れるので、決して「移民」ではないというのが政府の見解であります。ですから、マスコミ等が単純労働者受入解禁と書いていますが、この「特定技能」の役所の説明の中に、一言も単純労働が入っていないのも、上記の理由からです。

 

 本来ならば、法務省や厚生労働省が25年培ってきた技能実習とこの「特定技能」との整合性を吟味し、問題点を洗い出し、まして外国とのやりとりも発生するわけですから、外務省を通して、技能実習生を送り出す各国への打診を行い、法案成立のための矛盾の修正を繰り返し行うのがスジでしょう。今回、こういうプロセスが行われていません。ですから、今になっていろいろと問題が発生し、その調整に時間がかかっているというのが現状なのです。上記のようなプロセスを合議と書いて、「あいぎ」と呼ぶのですが、この過程がすっ飛ばされた法案だったように思えます。

 

 さて、特定技能の致命的な問題点について、私からいくつか指摘しておきます。

 

1.      「技能実習」から「特定技能」へ在留資格変更ができる意味がわからない。

 

 技能実習は、労働力の需給の調整に使ってはならない。この事業を行うに当たって耳が痛くなるほど聞かされている技能実習法第3条の条文です。監理団体許可を取るにあたって、組合のホームページに人手不足なぞ書きようなら間違いなく機構から指摘を受け、削除させられる文言でもあります。へたすると許可が下りません。

 

 しかし、特定技能は国内産業の労働力確保であります。こちらは堂々と人手不足の解消に特定技能外国人材を使って良いということです。

 

 全く考え方も違うこの2つの制度をどうしてリンクできるのか。未だ私はこの説明を聞いたことがありません。はっきり言うならば

 

 「国際貢献、国際協力の名の下で、発展途上国への技術移転を目的とした技能実習制度を国内産業の労働力確保に使って良いということ」

 

 ですよね。これはいいんですか?

 

 3年間技能実習した実習生を、母国に戻すことなく、特定技能として引き続き日本国内で今度は労働力として使うということ。もしこれを認めるのであれば、技能実習法の改正もしくは廃止を前提にしなければ、話のつじつまが合わないでしょう。私の言っていることは間違っておりますか?

 

2.      「職種・作業」と「業種・分野」はそもそもリンクできるのか?

 

 無理矢理関連付けをして、技能実習から特定技能への移行ができるようにしたみたいですが、

 

 業種の意味は職業・商業などの事業における種類で、事業の分類となります。

 

 職種は会社の中で個人が担う職業・職務の種類であり、個人の分類となります。

 

 何が言いたいかというと、技能実習は曲がりなりにも25年ほどの時間をかけて、技能を習得する建前を堅持していくため、実際は労働力の確保だろうとか低コストの外国人労働者を使うための方便とか、転職の自由を制限した奴隷制度と揶揄されても、ひたすら技能の移転という国際貢献・国際協力をうたってきたわけです。

 

 この建前を守るために法務省も厚生労働省も涙ぐましい努力をして、技能実習法を成立させてまで必死に頑張ってきたわけで、いきなりこの前提を崩すような特定技能を作られても正直困ると思います。

 

 法務省はこの特定技能はやりたくなかったと思いますよ。

 

 まして会社の分類で使われる「業種・分野」で、どうやって技能実習生の技能を割り当てるのか、技能実習生の職種は個人の職業の分け方であって、そもそも特定技能での業種を当てること自体無理があります。

 

 もちろん時間をかけて、しっかり調整していけば、つじつまの合う形になるとは思いますが、それには今回の法案成立の日程では全く無理だったということになります。

 

3.      送出し国の都合は全く考えていない。

 

 ベトナムを始めとした日本に技能実習生を送り込んでいる諸外国にとって、今回の特定技能の話は寝耳に水でした。この新しい在留資格ができることに対して、特にベトナムではあまり大きな関心にならないのも事実で、実際その後の流れを見ていますと、ベトナム政府が積極的にこの制度の導入に関して、動いていないように見えます。

 

 技能実習生はあくまでも母国に帰って、日本で学んだ技能を生かすことが目的であり、本来ならば日本の都合で技能実習生を帰さず日本で引き続き使うのであれば、送出し国の了解が必要であるはずです。

 

 一連のプロセスを見ている限り、この技能実習制度は国際貢献・国際協力の名の下で発展途上国への技術移転を目的とした制度と言っておきながら、実は日本の国内労働力の確保のため、国を挙げての詐欺行為をしているということでもあります。

 

 

 もうここまで書いてしまうと、実はこの入管法改正の問題というよりも、成立に至るプロセスに大きな問題がある法案だったということがわかってくると思います。

 

 そして、その歪みが結局導入してもすぐに動かない、外国人材を受入ができない、そういう問題になり、人手を必要としているところへ人材が供給できない状況になっております。

何のために急いで法案を通したのか・・・。そういう嘆きが経団連から出てきそうですね。

 

 来年からようやく動き出すと思います。私は逆にこの停滞がいろいろとチャンスが出てくると思っております。結局、留学生や元実習生からの切り替えではなく、新規でベトナムできちんと教育を受けた子たちが、特定技能で入れ込めるようになるのではないかと思っております。まあ技能実習でべらぼうな手数料を取っている送出し機関は嫌でしょうが、安価な手数料で頑張っている小さな送出し機関にとって、特定技能での手数料と技能実習での手数料は変わらないし、N4まで教育するのも当たり前ですからね。