1年前、労働力不足解消のため、成立した新しい在留資格「特定技能」
単純労働の外国人労働者受入解禁とか、移民時代の始まりとかいろいろと言われておりましたが、今年の4月に施行され、現在のところ雀の涙ほどの人数しか入っておりません。
私がブログで大枠だけの決定なのでどうなるかわからない、いろいろと足かせがつくから
うまくいきませんよと再三言った通りの結果となっております。
一部の経営者からは、
「国は本当に外国人労働者を入れようとしているのだろうか」
という疑いの言葉がつぶやかれる始末。
この「特定技能」をビジネスチャンスとみた人材派遣会社などは、大きくもくろみが外れて
いるようです。
さて、現段階では、技能実習で入れられるところは、しばらく技能実習で対応することを
おすすめいたします。特定技能として一番入れたいベトナム人は、国外で行う技能試験も
来年以降となっており、今の段階でもまだ受入に関するガイドラインが出ておりません。
はっきり言って、ベトナム側はこの「特定技能」にあまり乗り気ではないようです。
なんとなくわかりますよ。手数料収入が技能実習よりも特定技能の方が少ない。何もわざわざ
技能実習なら高く入れ込める人材を安く送り込むことは、ベトナム側ではやりたくないと
いうのが、本音のところだと思います。
しかし、日本側としては、いろいろとケチがつけられている技能実習よりも、できれば
特定技能へ切り替えていきたい、そんな思惑が見えております。特定技能ならばはっきりと
労働力の不足を補いたいためという大義名分が出ておりますので、技能実習のような矛盾が
ありません。今、特定技能の制度設計を時間をかけてもやっているのは、将来間違いなく
技能実習から特定技能への切り替えを考えているせいなのかもしれません。
私は、制度上大きな欠陥のある技能実習制度はできるだけ速やかに特定技能への切り替えを
行うべきであると思っております。できれば技能実習自体一度リセットをかけた方が良いかも
しれません。どうしてかは、本音と建前の乖離、そしてそもそも労働力の需給調整では
使っていけないと言いながらも、実際は労働力不足の解消にこの制度を活用しているわけで
もうこんな子供だましはいつまでやれば良いのか、それは役所の皆様も同じように考えている
はずです。
簡単に外国人労働者を入れられると思っていた特定技能が、技能実習と同じくいろいろと
面倒な手続きが必要となってきました。この特定技能を強く進めてきたのは、経団連を始めと
した経済界であるはずですが、当初とはだいぶ話が違ってきたぞと思っているはずです。
さてさて、特定技能と技能実習、今後の流れを注意深く見ていきたいと思っております。