焼け木杭に火が付いたとでもいうのだろうか?
随分とご無沙汰であった昼から飲めるお蕎麦屋さん。
一週間程前に偶さか久しぶりに訪れたのが店の良さを思い出させたのか、またその翌週も訪れていた。
ひょんなことがきっかけで、疎遠になったり、昵懇になったりするから、人と店の関係なんていい加減なものだ。
それは人と人にも言えることなのかもしれないけれど。
正午を30分も過ぎた頃に伺ったせいか、生憎店は満席だった。
「他、行くか?」
俺としては、近所のとんかつ屋でもよかったのだが、妻は、首を横に振った。
別に長い行列を作っているわけでもない。
我々は席が空くのを待つことにした。
少し待った後に通されたのは男性二人組がすでに片側を占拠しているテーブル席だった。
向かい合いのカウンター席だと思えばなんてことは無い。
しかし、向かい側が男性二人組で良かった。
これで、若くて可愛い女の子二人組だったりしたら、俺はとても緊張して、食事も喉を通らなかったりするところだった。
俺は本当に、若くて可愛い女性が苦手なのだ。
本当に。
しかし、我々より後に来たカップルが、程なく空いた二人掛けテーブル席にさらりと通されるっていうのは、なんだかな、ちょいと秩序が乱れているように感じちゃうね。
こっちが先だろ?みたいな。
別にいいんだけど、相席のままでも。
向かい側、気の置けなくもない兄さん二人組だし。
くどいようだけど、本当によかった。
綺麗なオネイさん二人組とかじゃなくて。
本当に。