さてと、今夜はどこ行く?

さてと、今夜はどこ行く?

酒場であったあんなこと、こんなこと。そんなことを書いてます。ほとんど、妄想、作話ですが。

居酒屋によっては、お酒を頼むと、受け皿の上にグラスが置かれ、そこに店主自らが直に酒瓶から酒を注いでくれる。

大抵、サービスなのか、グラスのみならず、下に置かれた受け皿までが、表面張力が弾ける寸前までいっぱいいっぱいに注いでくれる。

しかし、結局のところ、そうして注いで貰ったところで、受け皿に溜まったお酒は、グラスを受け皿ごと、身近の飲みやすい位置に引き寄せた途端、テーブルに零れてしまうことになる。

グラスの位置はそのままに、口をグラスの方に近づけて、グラスの酒をあらかた飲んで、その空いたスペースに受け皿に溜まった酒を移すという方法も試しては見たが、中腰になって唇を尖らせ、グラスの酒を啜る様はあんまり見っともいいものではないし、それにたとえそうしてみたところで、グラスに受け皿の酒を移す際、どうしても1滴、2滴、折角の酒がテーブルに滴ってしまう。

どうかして、この受け皿の酒を零さずに一滴残らず、奇麗に飲む方法はないものだろうか?

そして、閃いた!

 

ストローだ。

 

受け皿に溜まった酒にストローを刺し、最初にそっちを飲んでしまえば、もうグラスを引き寄せても、テーブルに酒を飲ませなくて済む。

 

幸い、俺の場合、毎日一本、引き出し式のストローが手に入る。

毎朝一本、ラブレという乳酸菌飲料を飲むことにしているのだが、これに蓋に刺して飲むためのストローが付属しているのだ。

だが、俺はラブレを飲むときはストローは使わずに蓋を剥がして飲む。

だから、一日一本持ち歩きにかさばらない小型の引き出し式ストローがポケットの中に入れられるのだ。

 

早速酒場で、その方法を試してみた。

延長させても10cmに満たない長さのストローだが、受け皿の酒を、中腰にならずに啜るには十分の長さだった。

席に深く腰かけたまま、煙草を吸うように人差し指と中指との間にストローを挟み、口に咥えると、ちょっと身をかがめストローの先を受け皿の酒に突き刺した。

結果、一滴も零すことなく、酒を飲み終える事が出来た。

俺の目的はラブレのストローによって難なく達成することが出来た。

まったく、ラブレ様様だ。

以来、俺のポケットにはラブレのストローが何本か常備されることとなった。

 

ラブレはCOOPという宅配サービスで一週間分まとめて購入している。

今朝、いつものようにラブレを飲もうと冷蔵庫から取り出した。

先日、先週取り寄せた最後の一本を飲み終えたので、この日は今週の最初の一本だった。

ラブレは3本1パックでパッケージに包まれて販売されている。

パッケージを剥がし、最初の一本を飲もうと手に取ったら、なんと今までは容器の脇に張り付けられていたストローが消えていた。

改めて剥がしたパッケージを見ると、今後はストローレスになるとのことだった。

どうせ、今までも俺はラブレを飲むときはストローは使わなかったから、それはそれで構わないのだが、ストローが付属されなくなってしまうと云うのはなんだか、おまけが消えたようで、ちょっと寂しい物を感じざるを得なかった。

しかし、なんでも、ストローをなくすことで、年間約 9,764 万本のストロー. ごみと、そのプラスチック使用量約 28 トンの削減につながるらしい。

ストローがある事で、年間62597314mlの無駄にテーブルに零してしまう酒を解消できる事と、環境保全とを秤にかけたら、やはり重要なのは後者だから、ちょいと淋しくはあるが、ここはストローレス化に賛同すべきであろう。

 

ラブレのストロー、今までありがとう。

今後は環境にやさしい、ペーパーストローでも探す事にするよ。