三本縛り | さてと、今夜はどこ行く?

さてと、今夜はどこ行く?

酒場であったあんなこと、こんなこと。そんなことを書いてます。ほとんど、妄想、作話ですが。

「姉さん、これ、もう一本!」
そう声を張り上げ、空になった徳利を振って見せた俺に、店の姉さんは新たな徳利を持って来る代わりに、黙って、店の奥を指差した。
指先の向こうに目をやると、そこには
「お酒類、一人三本まで!」
と書かれた紙が貼ってあった。
手に持った空の徳利を別にして、俺の目の前には2本の空になった徳利が並んでいた。
それ以外、まだ手付かずのつまみも残っている。
俺は酒が無いとつまみが食べられない。
だからといって、まだ大量に残ったそれらを残し、「はい、そうですか?」と席を立つわけには行かなかった。
「まあ、そう言わんと、頼むよ。」
そう姉さんを拝み倒そうかと思った矢先、突然に隣で飲んでいた粋な姐さんが、声を上げた。
「ちょいと、姉さん。それは、あんまりじゃあないか。姉さんは知らないかもしれないけれど
この人は大変な人なんだ。仕事の相棒は難病にかかって寝たきりで、だから、この人は一人で二人分、いや、それ以上の働きを毎日毎日みせている。給料はまったく変わらないっていうのにだ。それだけじゃない。なけなしの給料の中から工面して、病気で働けなくなった相棒の家族にも、貢いでいる。飲みにいく回数もずっと減っちまった。そんな彼に対して、よくも、そんな冷たい仕打ちが出来たものだね。いいかい、この人は一人で二人分!いや一人で二人分以上の待遇を受ける権利があるんだよ。」
俺の記憶が正しければ、俺にそんな事実は全くなかったが、ここは彼女に任せることにした。
見ると、店の姉さんは涙ぐんでいた。
「ごめんね。そうとは知らずに、変な規則を押し付けたりして。今日は心行くまで飲んでいって。」
そういうと、縁タップリまで酒の注がれた徳利を、俺の前にそっと置いた。

さてと、今夜はどこ行く?
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さてと、今夜はどこ行く?
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さてと、今夜はどこ行く?
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さてと、今夜はどこ行く?
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さてと、今夜はどこ行く?
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さてと、今夜はどこ行く?

っていうのは、俺のいつもの妄想ですので、くれぐれも真似などなさらぬよう、お気をつけくださいね。

どうして6本飲めたかっていうと・・・
是里依のおかげ。
一人三本、二人で六本。
さて、次行くよ♪

さてと、今夜はどこ行く?


p.s.鰻も食べておきゃよかったよ。鰻が絶滅危惧種に認定される前の土曜日の話でした。