素敵な願い事
(園崎)司 (10歳) 真面目で優しく、普段はどちらかというと大人しい感じ。たまに目がキラッ。
由美 (14歳) 司のお姉ちゃん。明るく活発な女の子。きつい感じもあるが本当は優しい。
お父さん (38歳) 司のお父さん。ちょっとさえない感じ。でも優しくて、みんなに好かれてる。
お母さん (36歳) 司のお母さん。ほんわかした優しい母親。お父さんが大好き。
謎のおじいさん (70歳くらい) ただのおじいさん?とんでもねえ。あたしゃ神様だーよ。
ロック (年齢不明) ランプの精。元々は天使だったのが、罰としてランプの精にされている。
学校のチャイム。 帰り道。「じゃあね」等、別れの声。 司の足音。
おじいさん 「ちょっと、坊や。」
司 「?」
おじいさん 「そう。坊や。坊やの事だよ。」
司 「僕?」
おじいさん 「そうさ。ちょっと、こっちにおいで。」
司 「え?」
おじいさん 「大丈夫。怖くないから。坊やに良いものをあげようと思ってね。」
司 「良いもの?」
おじいさん 「そう。良いもの。」
司 「何?」
おじいさん 「これだ。」
司 「これ・・・何?」
おじいさん 「魔法のランプさ。」
司 「魔法のランプ?」
おじいさん 「そう。これにはランプの精というのが住んでいて、
何でも願いを叶えてくれるんだよ。」
司 「ホント?」(目を輝かせながら)
おじいさん 「本当さ。いいかい。このランプを、こうやって擦ると・・・。」(ランプを擦る音)
モアモアモア、ボーン・・・みたいな、ランプの精が出てくる音。
ロック 「ふあ~ぁ。(欠伸)まったく、つまんねぇテレビしかやってねぇなあ。
・・・ん?あれ?もしかして、俺、呼ばれた?」
おじいさん 「こら、ロック!いつもいつも、昼間っからだらけてるんじゃない!」
ロック 「ったく、うるせぇなあ、じじい。 ん?何だ?このガキ。」
おじいさん 「お前の新しい持ち主。つまりご主人様だ。」
ロック 「こいつが?新しいご主人?」
おじいさん 「すまないねえ。ちょっとばかし口は悪いが、勘弁してやってくれ。」
司 「ロックって言うの?」
ロック 「ん?」
司 「名前・・・。」
ロック 「そうだ。俺様はロックだ。お前は?」
司 「え?僕?・・・司。園崎司。」
ロック 「そっか。ま、短いつき合いだとは思うが、よろしくな。」
司 「・・・うん!」
おじいさん 「じゃあ、ロック。お前は一旦中に入りなさい。」
ロック 「あいよ。じゃあ、また後でな、司。」
司 「うん。またね。」
ヒュルヒュルヒュル、ポン・・・みたいなランプの精が中に戻る音。
おじいさん 「どうかな?気に入ってくれたかい?」
司 「うん!あ・・・でも・・・。」
おじいさん 「どうしたんだい?」
司 「僕、お小遣い、あんまり無いから・・・。」
おじいさん 「何だ、そんな事かい。始めに言っただろ?良いもの『あげる』って。」
司 「ホント?良いの?」
おじいさん 「ああ、本当だとも。だから、大切にしておくれ。」
司 「うん!」
おじいさん 「じゃあ、あんまり遅くなるとお母さんが心配するから、早くお帰り。」
司 「ありがとう。おじいちゃん。」 走り出す音。
おじいさん 「気をつけて帰るんだよ~。」(遠くへ)
司オフ 「ばいば~い。」
司の家。司の部屋。
由美 「で、これがその、もらってきたランプ?」
司 「うん!」
由美 「ふ~ん。・・・何か、きったないね。」
司 「でも、魔法のランプなんだよ!」
由美 「これが・・・。」
司 「お姉ちゃん、何かお願い事ある?何でも言って。」
由美 「そうねえ・・・。司の妄想が早く治るように、かな。」
司 「何それ。」
由美 「だって、ランプの精なんているわけ無いもの。
司ももうすぐ五年生になるんだから、いい加減そういうの卒業しなよ。」
司 「いるもん!僕見たもん!」
由美 「だから、それを妄想って言うのよ。」
司 「じゃあ、お姉ちゃんにも見せてあげるよ。お願い。ロック、出てきて。」(擦る音)
由美 「そんな事したって、何も出てくるわけ・・・。」
ロック 「残念!ところが、本当に出てきちゃうんだなー、これが。」
由美 「え?え?な、何、これ?」
ロック 「オッス、オラ妄想。よろしくな。」
司 「ロック!」
ロック 「よう、司。中で聞いてて、あまりに腹立ったから、こっそり登場してやったよ。」
由美 「え・・・?もしかして、本当に・・・?」
ロック 「そのとおり。俺様がランプの精、ロック様だ。あ、頭がた~か~い~。」
司&由美 「はは~。」
由美 「って、何させるのよ!司も!頭下げてないで。あんた、主人なんでしょ?」
司 「う、うん・・・。」
由美 「とりあえず、何か願い事してみなさいよ。」
司 「え?願い事?」
由美 「そうよ。ランプの精が本当だとしても、願い事が叶うかどうか、
やってみなけりゃ わからないでしょ?」
司 「そうだけど・・・。」
ロック 「そうそう。最初に言っておくが、願い事は全部で三つだ。
ひとつ前の願い事を無しにするのにも、願い事をひとつ消費する。
願い事の数を増やす願いは聞けない。
世界規模で大きな混乱を招く願い事も駄目だ。」
由美 「ねえ。」
ロック 「何だ?」
由美 「もしかして、三つの願いを叶えたら、代わりに魂を頂く、とか・・・。」
ロック 「アホか、お前。漫画の読み過ぎだ。」
由美 「な、何よ!あんたの存在自体が漫画でしょうが!」
ロック 「三つの願いを叶えたら、ランプと一緒に俺はいなくなる。
その時に、 俺に関する記憶だけ消させてもらうが、別に命を取ったりはしねえよ。」
由美 「何か、あやしいわね。」
ロック 「うるさい、ボケ!だったら願い事すんな。」
由美 「な、何ですって~!」
お母さんオフ 「由美~、司~、ご飯にするわよ~。」
由美 「は~い!(母に)とりあえず、ご飯にするよ。ほら、それしまって。」
ロック 「ご飯?俺の分もあるのか?」
司 「え?あ、ごめん・・・。」
由美 「あんたの分なんてあるわけ無いでしょ。
何でも願い事を叶えられるなら、自分でごちそうでも何でも出せばいいじゃない。」
ロック 「・・・出来ねえんだよ。」
由美 「え?」
ロック 「他人の願いは叶えられても、自分の願い事は叶えられないんだよ!」
司 「・・・そうなの?」
ロック 「・・・そうだよ。何か文句あるか!」
司 「そっか・・・。ごめんね。」
ロック 「何で、お前が謝るんだよ。」
司 「え?何となく・・・。」
ロック 「へっ!同情なんてまっぴらだよ。」
部屋のドアが開く音。
お母さん 「ちょっと、由美、司。お父さんも待ってるんだから・・・。」
ロック 「おう。今行く。」
お母さん 「キャ~~~!か・い・じゅ・う・・・。」(お母さん、倒れる音)
由美&司 「お母さん!お母さん?お母さん!ねえ、お母さん!」(徐々にオフ。)
ロック 「怪獣って・・・。せめて、悪魔とか言ってくれ。」(前の台詞に被って)
居間。
お母さん 「本当にごめんなさいね。ビックリしちゃったものだから。」
ロック 「良いって。うまいメシもご馳走になったし、もう気にしてねえから。」
お父さん 「しかし、え~と・・・。」
ロック 「ロックだ。」
お父さん 「ああ、ロックさん。あの・・・、本当に、あの有名なランプの精なんですか?」
ロック 「物語に出てくる奴は俺じゃねえ。ありゃ別の奴だ。」
お父さん 「別の?」
ロック 「そう。本来俺達は、願い事を全て叶えたら、俺達に関する記憶を全て消さなきゃならない。
つまり、俺達に関する記録も伝承も残ってちゃいけねえんだ。
それなのに、そういう物が残ってるって言う事は、どっかのドジがミスったって事だ。」
お父さん 「なるほど。ホテルの消し忘れビデオみたいなもんか・・・。」
司 「消し忘れビデオ?」
お母さん 「あなた!」
お父さん 「あ、いや、その・・・、はははは。」
由美 「ねえねえ、とりあえず何かお願いしてみたら?」
お父さん 「そ、そうだな。そうしよう。母さんは何が良い?」
お母さん 「もう。・・・そうねえ、庭付き一戸建てが欲しい、なんてどうかしら?」
由美 「え~、そんなお願い叶うの?」
ロック 「失礼な。俺様に不可能な事は・・・あまり無い。」
由美 「ほら、駄目じゃん。」
ロック 「誰が出来ないと言った!その願い事は可能だ。」
お母さん 「本当ですか?」
ロック 「ああ、本当だ。・・・だが、ママさん。庭付き一戸建てを手に入れる事は出来るが、
いきなりそんなものを手に入れたら、ご近所さんがあやしく思うが良いのか?」
お母さん 「え?」
ロック 「国税局やら何やらが来て、色々調べられたりするかもしれないが良いか?」
お母さん 「それは・・・ちょっと・・・。」
由美 「そこら辺も何とかしてよ。」
ロック 「それは別の願い事になる。」
由美 「けち。」
ロック 「二つ目の願い事で、万事解決すればいいが、もし三つ目の願い事をしても問題が
残ったら、それは自力で解決するしか無くなるが、それでも良いか?」
お母さん 「・・・違うお願いにします。」
ロック 「そうか。」
由美 「じゃあ、お父さんを昇格させて、給料をアップさせたらどうかしら?」
お母さん 「あら、由美。言い事言うじゃない。ロックさん。家の主人を、会社の・・・
社長とまで言わないけど、重役クラスにしてもらえないかしら。」
お父さん 「おいおい、母さん。」
ロック 「ママさん。非常に言いにくい事なんだが・・・。」
お母さん 「無理・・・かしら?」
ロック 「いや、無理じゃねえ。無理じゃねえんだが、あまりお薦めはしないなあ。」
由美 「どうしてよ?」
ロック 「うん。今現在のパパさんの仕事の能力を考えると、重役はちょっと・・・。
仕事の重積に押しつぶされて、蒸発もしくは自殺なんて事になったら困るでしょ?
せめて、課長くらいに留めておいた方が良いと思うけど・・・。」
司 「お父さん・・・。」
お母さん 「そ、そうねえ。それくらいがちょうど良いかも。じゃあ、課長でお願い。」
ロック 「よし、わかった。じゃあ司。」
司 「何?」
ロック 「『何?』じゃねえ。俺の主人はお前なんだから、
お前が願い事を言わねえと駄目なんだよ。さ、早く願い事を言え。」
司 「そっか。うん。じゃあ・・・、うちのお父さんを課長に昇進させてください。」
ロック 「あいよ!お願い一丁入りました!ありがとうございます!それでは、参ります。
あ、ビビンバ・ビビンバ・トムヤンクン、ビビンバ・ビビンバ・トムヤンクン
もうすぐもうすぐ、もうすぐ半分こ~~!・・・・・・はい、来ました。」
由美 「え?終わり?・・・っていうか何、今の?」
電話のベルが鳴る。
お母さん 「あら、誰かしら?(電話に出る)はい、もしもし、園崎です。
・・・・・・はい、少々お待ちください。あなた!」
お父さん 「ん?何だい?」
お母さん 「部長さんから電話よ!」
お父さん 「え?部長から?・・・はい、お電話代わりました。・・・・・・はい。・・・・・・はい。
・・・え? 私が?本当ですか?・・・・・・はい。
いえ、是非とも頑張らせて頂きます。・・・・・・はい。
わざわざお電話ありがとうございました。はい。それでは、失礼いたします。はい。」
お母さん 「ねえ、何だって?」
お父さん 「・・・課長に昇進だって。」
由美 「え!本当?」
お父さん 「ああ。まだ公式な発表前だが、決定したから報告しておくって。とりあえず明日から
課長代理として働いて、次の人事で正式に課長に昇進だそうだ。」
ロック 「・・・何だ?(視線を感じて)とりあえず、課長代理にしたんだが、それじゃ駄目か?」
お母さん 「ロックさん、ありがとうございます!」
お父さん 「本当に、あのランプの精だったんですね!感激です!」
ロック 「え?そ、そうか?まあな。」
司 「すごいよ、ロック!」
由美 「あんた、やるじゃない。見直したよ。」
ロック 「なあに、これくらい大したことじゃねえよ。
お前こそ、よく見るとママさん似で 結構美人じゃねえか。」
お母さん 「あら、嫌だ。あたしに似て美人だって。」
みんな (笑い)
ロック 「よ~し、調子乗ってきたぞ!この調子で後二つも、バンバン行っちまおうぜ!」
由美 「ねえねえ、じゃあ次、あたしがお願いしても良い?」
司 「うん、良いよ。どんなお願い事?」
由美 「えっと・・・。」(モジモジしている)
ロック 「何だよ、男らしくねえな。スパッと言っちまえよ。」
由美 「うるさいわね。ちょっと司・・・。」
司 「何?」
由美 「あのね・・・。」
司 「・・・お姉ちゃんの好きな人に、好きな人がいるか聞きたい?」
由美 「あ~!ちょっと、声が大きい!」
お父さん 「何だ、由美、好きな子がいるのか?」
お母さん 「由美だってお年頃だもんね。」
由美 「良いでしょ。早く答えてよ。」
ロック 「何だよ。そんな事でいいのか?そんな事くらい・・・。」
由美 「・・・どうしたの?」
ロック 「・・・やっぱ無理だわ。」
由美 「え?何で?どうして?」
ロック 「どうしてって・・・、どうしてもだ。」
由美 「何でよ。出来ない事はほとんど無いんじゃなかったの?」
ロック 「うるせえな。世の中には、知らない方が良い事もあるんだよ!・・・あ。」
由美 「・・・何よそれ。どういう意味?」
ロック 「いや、その・・・。」
由美 「もしかして・・・。」
ロック 「・・・・・・。」
由美、駆け出す音。ドアを開け去っていく。
お母さん 「由美!」
司 「お姉ちゃん!」
ロック 「・・・しょうがねえだろ。嘘は吐けねえんだから。」
お父さん 「・・・ロックさん。」
ロック 「ん?」
由美の部屋。 (優しい音楽を入れてください)
由美が泣いていると、部屋のドアをノックする音。
由美 「・・・なに。」
お母さん* 「お母さんよ。・・・入って良い?・・・・・・入るわね。」(扉越し)
お母さんがドアを開けて入ってくる。
お母さん 「由美・・・。」
由美 「お母さん・・・。」
お母さん 「あのね、お母さんの初恋もね、由美と同じくらいの歳だったの。」
由美 「え・・・?」
お母さん 「同じ中学のひとつ先輩で、とっても格好良かったのよ。
頭も良くて、運動も出来たし。みんなの憧れの先輩だったわ。」
由美 「・・・うん。」
お母さん 「でも、当時のお母さんは、地味でパッとしない子だったの。
だから、すごい努力したわ。勉強も運動も、もちろん、お洒落もね。
・・・結局お母さんは勇気が無くて告白出来なかったけど、でも良かったと思ってる。
その人がいたからお母さんは変われたの。女の子はね、そうやってたくさん恋をして
少しずつ綺麗になっていくものなのよ。」
由美 「お母さん・・・。」
お母さん 「だから、由美もたくさん恋をして、少しずつ綺麗になっていけばいいの。
そうすれば、いつかお母さんにとってのお父さんみたいな人に巡り会えるから。」
由美 「・・・うん。・・・でも、あたしはお父さんよりもっといい人見つけるんだから。」
お母さん 「あら、お父さんだって、いい男よ。」
二人 (笑い)
お母さん 「元気出た?」
由美 「うん。ありがと。」
お母さん 「お礼はお父さんと司に言って。」
由美 「お父さん達に?」
お母さん 「お父さんが、二つ目の願いで『由美を元気にして欲しい』ってお願いしたの。」
由美 「お父さんが・・・?」
お母さん 「そうよ。だから、ね。」
お父さん* 「お~い、由美。コーヒー入れたけど、飲むか?(伺うように)」(扉越し)
お母さん 「(笑み)ほら。」
由美 「うん・・・。今行くから、ちょっと待ってて~。(扉の向こうに)」
お父さん* 「わかった・・・。あ、別に急いで来なくても大丈夫だからな。」(扉越しに)
由美 「は~い。(扉の向こうに)」
お母さん 「じゃあ、待ってるからね。」
由美 「うん・・・。ありがと。」
(音楽フェードアウト)
居間。
ロック 「よし、じゃあ最後のお願い事は何だ?」
司 「ねえ、その前に聞いても良い?」
ロック 「ん?何だ?」
司 「何でロックは人の願い事を聞いてくれるの?」
由美 「あ、それはあたしも気になる。願いを叶えると、あんたに良い事でもあるわけ?」
ロック 「それは・・・、まあ別に内緒にしなきゃいけないって訳でもねえから、良いか。
実はな、俺達は、元からランプの精って訳じゃねえんだ。」
司 「え?それじゃあ、何なの?」
ロック 「まあ、簡単に言うと、悪い事をした天使が罰としてなってるって感じだ。」
由美 「あんた一体何したのよ。」
ロック 「うるせえ。それは今いいだろ。んで、色んな人の願いを叶えてやって、
世界で一番素敵な願い事を叶えてやると、許してもらえて
また天使に戻れるって寸法さ。」
司 「へ~、そうなんだ。それで、世界で一番素敵な願い事って?」
ロック 「それがわかりゃ苦労はしねえっての。」
司 「そっか・・・。」
ロック 「だから、何かとびっきり素敵な願い事を言ってくれ。」
司 「ねえ、何だと思う?」
お母さん 「そうねえ・・・。」
お父さん 「素敵な願い事かぁ・・・。」
みんな 「う~ん・・・。」
由美 「・・・あ~、もう!考えてたってわかんないよ。司、あんた決めな。」
司 「え?僕?」
由美 「そうよ。あんた、自分の願い事、一つもして無いじゃない。」
お母さん 「あら、そういえば。」
お父さん 「司は、何か願い事は無いのか?」
司 「僕は・・・。そうだ!一つだけ。」
お父さん 「何だい?」
司 「あのね・・・。」
由美 「・・・え?そんな事なの?」
お母さん 「お母さんは良いと思うわよ。」
お父さん 「司がお願いしたいなら良いんじゃないか?」
由美 「・・・まあ、司が良いって言うなら、あたしも、別に良いけど・・・。
でも、それって出来るのかな?」
ロック 「何だ何だ、どうした?決まったのか?決まったなら早いとこ言ってみな。」
司 「うん。あのね。ロックを元の天使に戻して欲しいの。」
ロック 「へ?・・・俺を?天使に?」
司 「・・・無理、かな?」
ロック 「いや、つーか、お前、これが最後の願いだぞ?」
司 「うん。でも、僕別に願い事ないし。」
お父さん 「もう、二つも願い事を叶えてもらったし。」
お母さん 「大きな願い事を言って、しわ寄せが来ても怖いしね。」
由美 「それに言っちゃ悪いけど、あんたのした事ってよく考えたら、
あんたに頼らなくても時間さえあれば可能な事ばかりな気がするのよね。」
ロック 「う・・・。」
司 「だから、最後の願いはロックにお礼がしたいの。・・・出来る?」
ロック 「司、お前・・・。よーし、わかった!ランプの精、伊達に三千年もやっちゃいねえぜ!
お前のその望み、しかと受け取った!俺の命に代えても叶えてやるぜ!じじい!」
おじいさん 「何だ?」
お父さん&お母さん&由美 (驚く)
司 「あ、ランプをくれたおじいさん!」
ロック 「おい、じじい。聞いてただろ?こいつの願いだ。俺は天使に戻るぜ!」
おじいさん 「うむ。この子の願いとあればいいだろう。天使に戻るがよい。」
司 「やったぁ!良かったね、ロック。」
ロック 「おう!」
お母さん 「素敵な願い事って・・・。」
お父さん 「そういう事だったんだね。」
おじいさん 「司君。こんな馬鹿者の為に、貴重なお願い事を使ってくれてありがとう。お礼に、
この願い事は私が叶えてあげるから、もう一つ最後のお願いを言ってごらん?」
司 「え?でも、僕、他にお願い事なんて・・・。」
ロック 「おう、司。遠慮なんてする事無いぞ。何でも言ってみな?」
司 「う~ん。でも、本当に特に無いから・・・。
あ、そうだ!ロックとの記憶を消さないで欲しい。」
ロック 「司・・・。」
おじいさん 「う~ん。それは本当はいけないんだが・・・。わかった。」
司 「ありがとう、おじいさん。」
おじいさん 「よし、じゃあロックよ。元の天使の姿に戻るがよい(エコーかけて)」
姿が変わる、何某かの効果音。
お父さん 「おお。」
お母さん 「まあ。」
由美 「綺麗。」
司 「わあ。」
ロック 「よっしゃー!天使ロック様、完全復活だー!って、痛っ、てててて!何だこりゃあ!
輪っかが頭に巻き付いてるじゃねえか!いててて!し、閉まる、いててててて~!」
おじいさん 「天使に戻ったからには、汚い言葉遣いは直してもらわんとな。」
由美 「何あれ?孫悟空みたい。」
ロック 「くっそー、じじい!覚えてろ!いてててて~!」
みんな (笑い)
司 「じゃあ、ロック。」
ロック 「おう。短い間だったが、世話になったな。」
司 「・・・元気でね。」
ロック 「・・・お前もな。」
おじいさん 「さて、行くとするか。」
ロック 「おう。」
窓を開ける音。羽ばたく効果音。去っていくロック達。
司 「・・・・・・。ロック~!ありがとう!僕、楽しかったよ!ロックといて楽しかった~!」
ロックオフ 「おう!司~!俺も、結構楽しかったぞ~!」
完全に姿が見えなくなる。
由美 「行っちゃったね・・・。」
司 「・・・・・・。」
由美 「司・・・。あれ?これって・・・。」
司 「ロックの羽だ!」
お母さん 「まあ、天使の羽?」
お父さん 「きっと、ロックからのプレゼントだよ。」
由美 「良かったね、司。」
司 「うん・・・。」
終わり