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「もうアタシの話は終わりでいいの?」
「次は要ちゃんだね!」
予想外に自分の番が早く回って来てしまったので要はあたふたしてしまった。
「わ、わたしですか……。わたしは何を話せばいいのでしょう……」
要には珍しく、全力で困っている。五人にされるがままの状態だ。
「うーん、そうですの……。あ! 瑛太さんや蓮さんとはどのような関係ですの?」
蜜が目をキラキラさせて聞いてきた。無性に殴りたくなる。蜜、おぼえていろ。後で必ず復讐してやる。
「瑛太と蓮ちゃんですか……。蓮ちゃんとは普通に友達ですよ、もちろん」
要は素直に言う。
「えっ? 蓮ちゃんは、ってことは瑛太くんとは何かあるわけ?」
「相模のくせに意外」
え? どうしてそうなるの?
「瑛太なんて論外です!」
「ムキになってるぅ。要ちゃん可愛いなぁ」
「私の聞いた話ですと、瑛太さんと要は小学校の幼馴染みらしいのですが」
幼馴染み? 果たしてそうなのだろ
うか。
「小学校の頃の記憶がないのですから、わかりません」
炎華と航里と楓が疑いの眼差しで要を見ていた。
「覚えていないなんて言い訳が通用するとでも? アタシもナメられたものね」
本当に覚えていないのに。何か重大な誤解をされてしまったような気がする。
「小学校の記憶が全くないのですよ、わたしは。すっぽりと抜け落ちてしまったようなイメージです」
「要は嘘をついていませんわ。炎華、意地悪もこのへんにしませんの?」
蜜が助け船を出してくれた。本心を知っている蜜がいて助かった。これは、封印しておかなくちゃいけないものだから……。
「ちぇーつまんない。まぁいいわ。次の話題に行きましょう。次は……」
***
だいたい同時刻。
男子も男子で恋愛話をしていた。
『師匠! 師匠はどうしてそんなにモテるんですか! 教えてください!』
……女子とはかなり違うやり方でだが。
というか今の状況を説明すると、朱鷺の前に瑛太と遠江がひれ伏している。
二人ともモテる秘訣を知りたいらしい。
どうしてそんなにモテたいのだろうか、蓮にはその気持ちが一ミリたりともわからなかった。
「迷える子羊たち、といったところかな? 君たちに神託を授けようか」
『ありがたき幸せ!』
やっぱり瑛太と遠江は馬鹿なのだろうと思った。
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久々のインバランス本編でなんか懐かしい感じがします。
ここは前から完成してたところなんですね、実は。
まぁ、やっと日の目を浴びることができて嬉しいです。