▷ 春寒(しゅんかん)の惣菜煮るも母在りて
季語……春寒……春
「忙しくて大変だと思うけど、近々
こっちへ来てもらえないかな?
髪が伸びたから、ぼつぼつパーマを
掛けようと思うんだよ」
母から遠慮がちに電話があったのは
昨日のこと。
「眼のこともあるし、無理なら何とか
考えるからね」
母はいつもこうだ。
娘なんだから、遠慮なく用事を頼めば
いいのにと思うけど、考えて見れば
私もそうだからなあ。
三月とは言え、いつ雪が積もるかわから
ない気候もあるし、疲れさせてはいけ
ないと常に思っている母の依頼は、
逆に何としても受けてあげたい。
カレンダーを見て、忙しく計算する。
水曜日はケアマネージャーのKさんの
訪問があり、金曜日はデイサービス。
私の空いている日は月曜日と木曜日。
こんな時、必ず実行していることがある。
それは実行可能の日が複数ある時は、
必ず早い日に決めること。
万が一、予定がキャンセルになっても
予備の日が後にあるのは心強いものね。
なので、急遽明日日帰りで秘境に向かう
ことに決めた。
天気予報を見ると、最高気温は16℃に
なっているから雪の心配はないだろう。
最近、あれほど料理好きで上手だった
母も毎日の食事作りが負担になって
来ている。
先ず、朝の味噌汁が固形のインスタント
になった。
誰か帰って来る時は、きちんとイリコで
出汁を取り、手抜きはしないが1人の
時は作ってないようだ。
昼食と夕食は、弟のMくんがどっさり
買って来るレトルトを利用して、半
調理していると言う。
せめて、何日分でも楽をして欲しくて、
午後は惣菜作りに精を出す。
肉じゃが、ひじきの煮物、ハンバーグ、
明日は炊き込みご飯をどっさり作って、
小分けして持って行こう。
何だか茶色っぽいお菜ばかりだね。
明日は早起きして、日帰りで秘境に行って
来よう。
美容室は年中無休の何十年もの行きつけ
だから、月曜日でも大丈夫
無彩色の秘境の春は、きっとまだまだ
遠いことだろう。
「なまちゃん、おばあちゃんと会うのは
3ヶ月ぶりだね💓」