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心配事は突如として起こる。
午後3時、ふみちゃん宅に到着し、さあ
これからというときにスマホが鳴る。
母からだ。
今日は午後から足圧だとメールして
いたが、忘れているのだろう。
「ああ、ごめんね。
心配事が起きてね。今朝から水が
全く出なくて、裏のタンクに行って
見たら、一番下のタンクの縁までしか
水がないんだよ。
これから歩いて水源まで行って来るよ」
「ええーっ❗️ 明日、そっちに行こう
か?」
「いやいや、忙しいのに来なくていいよ。
今から行って来るからね」
言い出したら聞かない母だ。
ふみちゃんをマッサージしながら、
気が気ではない。
5時においとまして車に乗り、すぐに
実家の固定電話を鳴らしたが出ない。
帰ってからも、固定電話と携帯を交互に
鳴らすが反応がない。
日が暮れて、外は真っ暗だ。
第2の水源は道路べりにあるが、800m.
はあるし、谷川までは傾斜もあるから、
もし足を滑らせたら大変なことになる。
5年前の水源事件が甦る。
あの時、雪と凍結で水が1滴も出なく
なり、母は1人で山の上の水源まで
足を運んだのだ。
「今から行って来るよ」と言って、
帰ってからは連絡もしないで、その
まま畑に出て行き、遭難したのでは
ないかと居ても立ってもいられなかった
ことを思い出す。
「お母さんが水源に行ったきり帰って
来ないよ」
家人に言うと
「夕飯を食べて行こう❗️」
秘境の実家までは、最低2時間。
大急ぎで夕飯を食べ掛けた6時20分。
母から電話が入った。
安堵と怒りが交互に襲う。
「お母さん、無事だったの?
ものすごく心配したんだよ」
「ああ、今帰って来たよ。
何とか水を送ることが出来たよ。
スズメバチはもう居なかったよ」
元気で呑気な母の声。
「もう少ししたら、そっちに向かう気で
いたんだよ」
「大丈夫だよ。今日は来なくていいけど
また平日に郵便局と農協に連れて行って
くれるかな?」
どうも、私の心配は届いていないようだ。
高齢の母は後4ヶ月で93歳を迎える。
これから、こんな出来事が度々起こる
んだろうな。
真っ暗な道路を杖をついて、水源から
帰って来た母に「あっぱれ❗️」と
言うべきなのか。
私の心は千々に乱れるのである。
「なまちゃん、めちゃくちゃ心配した
のに、おばあちゃんは呑気だね」