秘境話…死ぬほど心配したよ | まりんぼったの独り言

まりんぼったの独り言

ヨウムのまりん(2000年生まれ)との日々…
笑ったり、怒ったり、ひたすらにぎやかな日常の中で、私(なまちゃん)の日々も流れて行きます。
調子に乗って、俳句、短歌、川柳、小説なども。
秘境に1人暮らしをしている母も93歳になりました。


 



  心配事は突如として起こる。

  午後3時、ふみちゃん宅に到着し、さあ
   これからというときにスマホが鳴る。

   母からだ。

   今日は午後から足圧だとメールして
   いたが、忘れているのだろう。

   「ああ、ごめんね。
     心配事が起きてね。今朝から水が
     全く出なくて、裏のタンクに行って
     見たら、一番下のタンクの縁までしか
     水がないんだよ。
     これから歩いて水源まで行って来るよ」

    「ええーっ❗️ 明日、そっちに行こう
      か?」

    「いやいや、忙しいのに来なくていいよ。
      今から行って来るからね」

     言い出したら聞かない母だ。

    ふみちゃんをマッサージしながら、
    気が気ではない。

   5時においとまして車に乗り、すぐに
   実家の固定電話を鳴らしたが出ない。

   帰ってからも、固定電話と携帯を交互に
   鳴らすが反応がない。

   日が暮れて、外は真っ暗だ。

   第2の水源は道路べりにあるが、800m.
   はあるし、谷川までは傾斜もあるから、
   もし足を滑らせたら大変なことになる。

   5年前の水源事件が甦る。

   あの時、雪と凍結で水が1滴も出なく
   なり、母は1人で山の上の水源まで
   足を運んだのだ。

   「今から行って来るよ」と言って、
    帰ってからは連絡もしないで、その
   まま畑に出て行き、遭難したのでは
   ないかと居ても立ってもいられなかった
    ことを思い出す。

    「お母さんが水源に行ったきり帰って
       来ないよ」
     家人に言うと
     「夕飯を食べて行こう❗️」

    秘境の実家までは、最低2時間。

   大急ぎで夕飯を食べ掛けた6時20分。

    母から電話が入った。

    安堵と怒りが交互に襲う。

   「お母さん、無事だったの?
    ものすごく心配したんだよ」


    「ああ、今帰って来たよ。
      何とか水を送ることが出来たよ。
     スズメバチはもう居なかったよ」

    元気で呑気な母の声。

    「もう少ししたら、そっちに向かう気で
      いたんだよ」

    「大丈夫だよ。今日は来なくていいけど
      また平日に郵便局と農協に連れて行って
     くれるかな?」

    どうも、私の心配は届いていないようだ。
   
    高齢の母は後4ヶ月で93歳を迎える。

   これから、こんな出来事が度々起こる
   んだろうな。

   真っ暗な道路を杖をついて、水源から
   帰って来た母に「あっぱれ❗️」と
    言うべきなのか。

   私の心は千々に乱れるのである。


   



   「なまちゃん、めちゃくちゃ心配した
     のに、おばあちゃんは呑気だね」