ふみちゃんのこと☆5・・更に高みへ! | まりんぼったの独り言

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ヨウムのまりん(2000年生まれ)との日々…
笑ったり、怒ったり、ひたすらにぎやかな日常の中で、私(なまちゃん)の日々も流れて行きます。
調子に乗って、俳句、短歌、川柳、小説なども。
秘境に1人暮らしをしている母も93歳になりました。

 

 

    ふみちゃんのことを書き進めていると、どうしてももう一度本人に会って確かめたい

    ことや、写真を撮りたいことが出てくる。

    フィクションではないので、真偽を確認しないで話を展開させてはいけないと思い、

    午前中の僅かな時間を割いて、ふみちゃん宅を訪れた。

 

 

    ふみちゃんは、いつもと変わらない温かい笑顔で迎えてくれた。

    部屋には暖炉を模した電気ストーブが赤々と燃え、花や小物に囲まれメルヘンチックな

    設え(しつらえ)になっている。

    ふみちゃんには、彼女を心から大切に思っている家族(弟一家)が、別棟に住んでいて、

    病院の送迎やパソコンの操作方法、旅行への同行などきめ細かに世話をしてくれる。

    それでも重度の障害のため、介護ヘルパーの提供するプランが最も大切だ。

 

 

   

    私が一番聴きたかったことは、苦しい環境にありながら、今日まで挫けずに明るく

    生きてきた原動力である。

    長いつきあいだから、今までにも耳にしているのだが、突き詰めてゆっくり聴いた

    ことはなかったと思う。

 

 

 

    何度も訊き返しながら、ふみちゃんが話してくれた内容を要約すると・・・

 

    「 私は12歳のとき、妹と近所の氷屋さんに行ってたら、教会の牧師さん達が

     音楽を鳴らしながらやってきたのに出逢ったの。

     そして、日曜学校に誘われて、どうしても行きたいから、小四の妹にお願いして

     毎週日曜日に通うようになった。

     何年かして、妹はもう行きたくないと言ったけど、私はどうしても行きたくて泣いて

     いたら、両親が妹に頼んでくれた。

 

     大人になってからは日曜学校はやめて、礼拝に行くようになり、自力で歩いて行ける

     ようになったの。

     神様のお蔭だと思って、本当に嬉しかった。

     私はいつも神様と一緒だから、どんなことも耐えられるのです」

 

 

     ふみちゃんの部屋に飾ってある額には、神様の言葉が書いてある。

     何十年もの間、日曜日は常に教会に通い、礼拝を怠らず、多額の献金も惜しまない

     ふみちゃんの信仰は、紛れもない本物だ。

     心の深い部分に揺るぎない信仰を持ち、接する人全てに笑顔を絶やさないふみちゃん。

     決まった信仰を持たない私にも、彼女の生き方は胸に迫るものがある。

 

 

 

 

 

      

 

 

     ふみちゃんと話していると、楽しそうに幾らでも思い出を語り、その記憶力の

     確かさに驚く。

     編み物を習いに行き、最初は断られたのに諦めずに通い、遂には講師の資格

     まで取得したこと。

           なぜ断られたかというと、学校に行っていないから、編み物の増し目や、減らし

     目の計算が出来ないだろうと思われたのだそうだ。

     もちろん、不断の努力でクリアしたのである。

     洋裁にも挑戦し、型紙を採って母親の夏服を縫って喜ばれたこと。

 

 

     「エーッ?それは初耳だわ!じゃあ、ミシンも持っていたのね!」

     またしても、私の苦手な分野での活躍に、まじまじとふみちゃんを見ないでは

     いられない。

     片道1時間を自転車で往復していたと聞くと、まさに耳を疑う。

     後輪が2輪ついた自転車だったのだが、乗っているふみちゃんを想像できない。

     ふみちゃんの辞書には「諦め」という文字はないのだろう。

 

 

 

     肝心の絵てがみの話になり、大切にしまっていた絵を久しぶりに見せてもらった。

     懐かしい・・・もう八年近く前に、先生に否定された絵を画材を変えて、ふみちゃん

     らしく繊細な温かい絵を描き続けた集大成が、ここには息づいているのだ。

 

 

 

    

 

       

 

       このコデマリの絵こそ、画材を変えて描きあげた最初の作品。

       慣れない青墨の筆ペンと、水彩色鉛筆で丹念に仕上げてある。

       ふみちゃんの観察眼とデッサン力に、一瞬固まったのを憶えている。

 

        *~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*

   

      続きます。

      本来は更なる飛躍の章を書きたかったのですが、ふみちゃんを支えた信仰の

      日々をはしょることは出来なかったのです。

      長くなりそうですが、どうぞ訪問してくださいね。