幸せってなんでしょう。
健康であること。
お金に困らないこと。
尊敬されること。
好きな人と一緒にいられること。
・・・
人それぞれですね。
百人いれば、百通りの幸せがあるんだと思います。
たくさんある幸せのカタチも、大きく4つの条件に分類できるのだそうです。
□ 自己実現に関すること
□ 前向きな感情
□ 愛情と感謝の気持ち
□ 独立を求めること
社会学の間では、収入や学歴、健康状態などの客観的なデータをもとに幸せの尺度を研究してきました。
今では、これに加えて主観的なデータ、個人の幸福感を主観的な概念から研究対象になってきました。
客観的データが良いから幸せだとは限らないということです。
たしかに、収入が多いからといって必ずしも幸せであるとは言えません。
慶應義塾大学大学院の前野隆司教授はこう言っています。
預金、不動産、成績、社会的地位といった周囲との比較によって満足を得られる「地位財」より、他人との相対比較とは無関係に幸せを得られる「非地位財」(健康、自由、愛情、環境など)のほうが幸福感が長続きすることも明らかになっています。
人間は本来、短期的な幸せをもたらす地位財と、長期的な幸福をもたらす非地位財を、どちらもバランス良く求めるようにできています。ところが、現代では進歩主義が是とされていて、競争と快楽の追求を協調しすぎる社会をつくってしまった。人は所得などの特定の価値を得ることが必ずしも幸福につながらないにもかかわらず、それを過大評価してしまう傾向があるようです。
自由な時間と幸福感との関係では、余暇がたくさんあったほうが必要と思われていましたが、むしろ、自由時間が短い人のほうが幸福感を得られる傾向にあるそうです。
自由な時間の長さが重要ではなく、質が重要だと気づき始めているようです。
友達の数と幸福感の関係でも、多数の友達がいるより、多様な友達がいるほうが幸せな傾向にあることもわかってきています。
幸福度をはかる4つの条件を詳しくみていきましょう。
□ 自己実現に関すること
「なんでもやってみよう」の考え方。
やればできる!といった達成感を多く経験することは幸福感につながります。
その結果、なにかしら成長することができればより幸せを感じられます。
失敗したとしても、ものごとにチャレンジしたという自信につながります。
もともと人間は自己実現を追求する生き物。
自分とはなにか。他人との違いはなにか。本当になりたい自分とはなにか。
未来に不安を覚えて慎重に行動することは、生命を維持すると言う意味ではプラスに働きますが、過剰に反応してしまうと、能力低下が働き結果的に不幸を招いてしまいます。
チャレンジとは駄目でもともと、うまくいけばラッキーということ。
挑戦するときはわくわくするような幸福感を得ることができます。
□ 前向きな感情
ものごとは悪いようには起きないという、楽観的な考え方。
失敗や不安があっても気持ちを切り替えることができると幸福度が増します。
いいことが起きたときには、「こんな幸運は一時的なもの」と思わずにずっと続くと思うようにします。
逆に失敗したときには、「ダメだ、できない」と思わずにたまたまにすぎないというように意識を変えます。
楽観主義というと結論を先送りにするというイメージですが、本来の自分というニュートラルな自分に帰ることができるかがポイントです。
□ 愛情と感謝の気持ち
他者を敬ったり感謝することは自分への感謝につながります。
感謝の気持ちは常にプラスに作用して、粘り強くなるといいます。
そもそも人間は社会的な生き物。助け合わなければ絶滅してしまうので、他人に対して感謝し、感謝されようとする意識がそもそも脳のなかにあるのです。
感謝を意識するだけで、脳内にセロトニンという物質が分泌します。
セロトニンは幸福感を持続させる重要な脳内ホルモンです。
嫌なことや不安なことが起きて、1人では耐えられないという状況でもみんなと一緒なら頑張れるというのはセロトニンが守ってくれるからです。
□ 独立を求めること
人類は、脳の働きも性格も身体的能力も免疫機能も人それぞれ違います。
むしろ違うからこそ、これまで発展してきたのです。
免疫機能が世界中の人みな同じだったら、たったひとつの伝染病で絶滅してしまいます。
だから社会的でみんなが協力し合う仕組みをつくりだしてきました。
とくに、弱い人を強い人が守るという原理が今日の人類の共通原則になっています。
(なかには、弱い者いじめをする人がいますが、そんな人は人類の定義からはずれたところにいます。)
慎重な人もいれば、チャレンジングな人もいる。穏やかな人もいれば怒りっぽい人もいる。
そんな社会のなかでは、自分らしく生きるということが重要になってきます。
社交的ではないと悩んでいる人がいます。
確かに社交的に生きることは大事かもしれませんが、全員にある必要はありません。
なくたってどうってことはないのです。
自分の得意、不得意を把握して重荷は捨てましょう。
常識というのは、社会にとって必要かもしれませんが、全体にとって正しいことでも自分という個にとって正しいとは限りません。
自分の性格を自覚することは、社会との関わりのなかで幸福感を得ることになります。
いかがでしょうか。
この4つの条件を意識するだけでも、とらえどころのない「幸福」を感じられるきっかけになると思います。
大事なことは、バランスです。
この4つの条件もバランスが悪ければ、他人を排除し自分が勝ち残るという図式にもなってしまいます。
他人をおとしめて自分が優位に立とうというのは、一時的に幸せを感じるかもしれませんが、それは本当の幸福ではありません。
他人を認めて感謝し、自分は自分の努力で高める。
これが幸せになることの意味ではないでしょうか。