らぶどろっぷ【元AV嬢の私小説】 -74ページ目

第278話 きっといつか

携帯からの目次を作りました  


耳元で

神様が囁いている。

進むべき道を示してくれる。


子宮の中で

母体に包み込まれているような安心感があった。


神の存在は

いつだって体験を通して認識される。


全身全霊に訴えかけるリアリティを伴って。

だからこそ

その確信は揺ぎ無く

驚くほど人を強くするのだろう。


仕事が終わるとよく

浅草周辺を一人でプラプラと散歩した。

月を見上げて

夏の澄んだ空気を吸い込み

何の目的も持たず

インスピレーションだけを頼りに歩いていく。


道路標識の矢印の方向に沿って進んでみたり

その日「黄色」が気になっていれば

黄色のものを辿っていくなど

その時々のサインを手繰り寄せながら当て所なく歩いた。


あるときは

辺鄙な場所に

『スナック 毬藻』を発見した。


あるときは

深夜人通りの少ない裏路地にもかかわらず

高校時代の同級生と再会した。


またあるときは

神社の石のベンチで

ポケットサイズの古びた聖書を拾った。


小さな偶然が

加速度をつけて重なり合う。


因果律で説明するならば

それは単なる偶然の連鎖に過ぎないだろう。


けれど

一つ一つの偶然が

当人にとって意味と繋がりを持つのであれば

それは神の現れであり奇跡とさえ感じられるものだ。


―――すべてはひとつ―――

―――ひとつはすべてだ―――


とても特別な感覚だった。



その頃

一緒に踊っている外人ダンサーのシルビアから

めずらしいタロットカードを譲ってもらった。


そこに書いてある絵は

非常に象徴的で意味深く

私の興味を引いた。


このカードとの出会いも偶然とは思えなかった。

私は神秘思想に傾向していき

それらに関する本を多く読むようになった。


カバラや密教、ヘルメス主義

錬金術や、フリーメイソンに至るまで

幅広く知識を深めていった。

宇宙の謎を解く鍵についての知識を追い求めてゆくと

人間の内奥に存在する叡智と出逢うことになる。


随分と時間をかけ

私は少しずつ真実に近づいていった。


そして

ようやく答えに辿りついた。


しかしそれが

あらゆる人々を満足させられる答えではないことも理解していた。

このてのことは

自分の経験則と主観的現実によって捉えられることで

言語化して普遍的なものに置き換えることは出来ないからだ。

私はただ

自分を満足させる答えを見つけただけに過ぎない。

その答えは

私が存在している意味であり目的でもあった。


自分が何をしたいと欲しているのかを真に理解して

何に自分の意思を向けるべきなのかを知ったのだ。

私が知ったことを言語化するならば

きっと一番近い言葉は『愛』だと思う。


とても広い意味での愛だ。


自分の出来る方法で

それを伝えていきたいという意欲が

全身に漲っていた。


それが神の意思であり

私が本当に天使になれる方法だと思った。


前任者はたくさんいて

みな同じ志を持ち歴史の上を歩いてきている。


今の私に出来る自己表現の手段はストリップしかないけれど

この先なにか他の形で表現できる方法が見つけられるといいな

と胸に留めた。


―――きっといつか。




日曜日

俊ちゃんが東京へやってきた。


ロック座の舞台を見て

客席から白いバラの花束をプレゼントしてくれた。


ステージの上から

久しぶりに俊ちゃんの顔をみて

胸がいっぱいになった。


早く俊ちゃんを抱きしめたかった。


楽屋に戻ると

花束の中に封筒が入っていることに気がついた。


めずらしいな

と思いながら中の手紙を取り出した。


『俺は誰からも必要とされていない人間だと思っていた。

だから自分も誰のことも必要としないで生きていこうと決めていたんだ。

でも、それはすごくさみしいことだって気がついたよ。 ありがとう』

汚いけれど

とても丁寧な字でそう書いてあった。




超越体験と誇大妄想は紙一重かもしれない。

ただ、私にとってはどこまでも真実の体験なんだよね。

残念なことにドラッグを使用していたという事実があるから説得力を持たないかもしれないけれど。

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ドラッグだったり、運命の恋だったり、心の闇だったり、神様だったり

毎回エントリーの趣旨が違ってますが全部同時進行なのでカオスなんですよね・・・。

先日の記事の最後の一文で不適切な表現をしてしまいました。お詫びします。本当にごめんなさい。

で、この章はおしまいです。 挨拶文いれますね。 次章を書くのが少し怖い。 ではまた^^