らぶどろっぷ【元AV嬢の私小説】 -65ページ目

第286話 降り積もる想い出

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それからの日々は幸せだった。


二人はいつも一緒で

巡る季節を寄り添って数えた。



出会いの夏は通り過ぎて

東京よりもうんと涼しい秋が訪れていた。


私は少しずつ仙台に馴染んでいった。


猪苗代湖へ行ったメンバーで

休日はよくアウトドアに出かけた。


キャンプに行ったり温泉に行ったりと

みんな水商売をしているとは思えないほど

フットワークが軽かった。


東京では見ることがない星空。

淀みのない川。

砂の舞っていない海。

遮る建物がなく開けた地平線。


私はその一つ一つに感動を覚えた。


仙台は

町の中心こそ栄えているが

ほんの少し車を走らせれば自然の宝庫だった。


都会の喧騒から離れて

自然の中ではしゃいでいると心が洗われる。


そして

振り向けば

いつもそこに愛する男の笑顔がある。


入道雲の形

つがいの白鳥

噴水に乱反射する太陽の光

今でもはっきりと瞼の裏に浮かんでくる。


本当に本当に

かけがえのない時間だった。



冬になると

俊ちゃんはスノーボードを教えてくれた。


近郊のゲレンデに

毎週のように足を運び

まとまった休みが取れると

いつものメンバーで岩手のアッピに宿泊したりした。


露天風呂にはいると

女の子同士で

ホストの彼女の苦労話に花が咲いた。


たくさんの輝く思い出が

雪のように降り積もっていった。




恋愛中の高揚感と

スピードによる多幸感による相乗効果で

私は常にハイテンションだった。


私達はあいかわらずスピードを常用していたけれど

表立った問題は何もおこっていないように感じていた。


ただ

私は気分の変容が激しく

ちょっとのことで情緒不安定になって

ヒステリーを起こすようになっていた。


俊ちゃんは優しくて

私がどれだけ理不尽なヒステリーをおこしても

全面的に受け入れる体制を崩さなかった。


俊ちゃんの優しさに甘えて

私はますます付け上がっていった。


「今日仕事休んで!」

「今すぐ海が見たい!」

「荷物重いから全部持って!」


そんな子供じみた我侭を

俊ちゃんは全て叶えてくれた。


本当に尽くしてくれた。


我侭を無条件にきいてくれることが

愛だとは決して思わないけれど

俊ちゃんはとても不器用な人だったから

全てを受け入れるとことしか出来なかったのだと思う。


それが彼の愛の形だったのだ。


私はいつも

俊ちゃんを想う気持ちが強すぎて

心がはちきれてしまいそうだった。


好きで好きで

本当に大好き過ぎて

自分の想いを持て余していた。


どれだけうまくいっていても何か足りなくて

どうすればいいのかわからず我侭をぶつけてしまう。


そして

いつもどおり優しい対応がかえってくると

愛しさと切なさが込み上げてきて泣いたりする。


尋常ではない激情に流されて自分でも困り果てていた。


「私おかしい?」


爆発する感情をどう取り扱っていいのかわからず

不安になると俊ちゃんによく尋ねた。


そのたびに「おかしくないよ」と俊ちゃんはこたえて

私が安心するような笑い話をしてくれた。



でも実際には私はおかしくなっていたのだと思う。

そしてそんな私のことを俊ちゃんは愛してくれていたのだ。



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