第089話 宅配裏ビデオ
部屋の壁三面には
天井まである棚が並んでいて
中にはぎっしりとビデオテープが入っている。
沖縄訛りのある男の子が
電話番から渡された紙を見ながらビデオを探し出し
運転手に渡すとすぐに配達に出かけていく。
みんな慣れているからか
誰もモニターのAVを見たりはしていない。
私一人が興味深々で
チラチラと盗み見ている。
パパはその場にいる全員に
私の事を「俺の女だ。」と紹介した。
その瞬間から
私は『姐さん』と呼ばれはじめる。
私はこの『姐さん』と呼ばれる事に
無類の快感を覚えていて
すっかり顎が上がってしまう。
パパの寵愛を一身に受け
子分達はみんな私に平伏す。
ふふ。いい気分。
次から次とかかってくる電話に
電話番の男は忙しなく
紙に注文番号と客の住所を書き殴っている。
「それにしても忙しいんだねぇ~。」
山積にされている
ポスティング用の裏ビデオのちらしを手に取って見る。
「このタイトル! よくもまぁこんなエゲツないタイトル思いつくね。
超うけるんだけど。きゃはは」
このタイトルを見たら男だったら絶対に飛びつく。
それも電話1本で届けてくれるのだ。
男の欲望をよく理解している私は
これは旨い商売だなぁ。
と深く納得してしまう。
その時
パパの携帯に一本の電話が入り
急にパパの顔が険しくなる。
「どういう事だ?」
「ちゃんと説明せんかい!!」
パパの声が大きくなり
口調が荒くなっていく。
私はそういうパパをあまり見た事がないので
緊張して思わず身が縮む。
「ふざけるな!! てめーの店にバキュームカーで糞ばらまくぞ!!」
パパがすごい剣幕で怒鳴りつける。
その迫力はまさしく本物だ。
私はビックリ仰天して目を見開く。
『これがパパ?』
信じられない気持ちで唖然としてしまう。
見てはいけないものを見てしまったかんじだ。
恐る恐るパパの方を窺がうと
血走った目で私の事をジロっと睨みつけた。
続き気になる人はクリックしてね♪

