らぶどろっぷ【元AV嬢の私小説】 -27ページ目

第322話 初同伴

(今日は本編の最後に告知があるよん)


携帯からの目次を作りました


田中は鉄板焼きのステーキ屋に予約を入れていた。

なんでも国分町では有名な高級店らしい。


窓際の席に案内され店内に視線を流すと

私達の他にも見るからにホステスと客といったカップルが目に入る。


「まりもちゃんの初出勤を祝って」

「田中さんとの出会いを祝って」


上等の赤ワインで乾杯する。


「ねぇねぇ、田中さんのことさ、た~ちゃんって呼んでもいぃ?」

私は小首を傾げて尋ねる。


「えっ! た~ちゃん… 恥ずかしいなぁ」

田中は頭を掻きながら俯く。


経験上、飲み屋の客は馴れ馴れしいあだ名でいきなり呼ばれることを喜ぶ。

「おいおい」とか「勘弁してくれよ」などと照れながらも

好感を持たれているという意識が働くからだ。


年配だったり、地位の高い客には

あえて「さん付け」ではなく「ちゃん付け」にするのだとホストのヒカルも言っていた。


田中の父は事業主で

長男の田中はその跡取りらしいから「わか♪」なんて呼び方も有効そうだけれど

それはあまりにもホステスナイズされ過ぎているかなと思い「た~ちゃん」と呼ぶに留めた。


「ねぇ、た~ちゃん、これって仙台牛? 超美味しい!

仙台って牛タンだけじゃないんだね!」


私はしつこいくらいに「美味しい」「嬉しい」「幸せ」と褒めちぎった。


田中はラトゥールのシステムを熟知しているようで

丁度いい頃合に会計を済ませ、時間ぴったりに店に辿り付くことが出来た。


「一度メイクに戻って着替えてくるみたいなの。 少し待っててね?」


私が言うと田中は

「あ~、知ってるから大丈夫だよ、ごゆっくり」と片手をあげた。


黒服が田中を席まで案内する。


店内を覗くと

円形のカウンター席に同伴の客が4人座っているだけで

奥の席にはずらっと女の子が待機していた。


「まりもちゃん、早く行くよ!」


栄子に急かされてメクルームまで走って戻る。


同伴した4人のホステスは黙々と仕度をすませ

ボディコンの上にコートを羽織って階段を駆け下りていく。


私と栄子も続いた。


店に入り、付回しの高梨に「準備OK」と伝えた。


高梨は順番に同伴席からヘルプを抜き、指名の女の子を付けていく。


「お待たせしました。 ご指名のまりもさんです」

高梨のコールと共に田中の隣に座った。


「なんかすごく慌しいってかんじ!」

私はここまでの流れ作業の感想を伝えた。


「ははは、すぐに慣れるよ。 店内にメイクルームがあれば楽なのになあ?」

そう言う田中の頬はほんのり赤らんでいる。


「てか、今日は同伴してくれて本当どぉもありがとね。

おかげでいくらか緊張しないですんでる。 た~ちゃんってマジでいい人♪」


「飲み屋の女から『いい人』って言われるのは『どうでもいい人』って意味だからなぁ~」

田中が苦笑いする。


「ぇ~? どぉして? 

褒めてるのに、そんな風に感じるなんてちょっとスレてるんじゃなぃ?

もっと素直に受け止めて欲しいな… あたしの好意伝わってないのは寂しいかんじ…」

私は頬を膨らませる。


「いやいや、まりもちゃんみたいな子にそんな風に言ってもらえるのは光栄ですよ!」


田中はそう言うけれど、それが社交辞令なのはすぐにわかる。


飲み屋慣れしているし、頭の回転も早そうだから、私の媚はお見通しだろう。

このくらいでのぼせ上るようなタイプではない。


「ラトゥールは客入りがいいから

すぐに指名がついて人気者になるだろうけど俺のこと忘れるなよ?」


「田中さんは初出勤に同伴してくれたし、特別な人だよ。

今は友達も彼氏もいなくて寂しいからプライベートでも遊んでくれたらうれしいな」


男は『特別な人』とか『初めての男』とか言われるのが大好きだ。

本当に単純。


「まじで? 俺はいつでもOKだよ! まりもちゃんは休みはいつなの?」

さすがに田中もここにはガッツリ食いついてくる。


「休みはね、日曜日だけなの。 

ちょっとしばらくは引越しの片付けとかで日曜日はつぶれちゃいそぉだけどさ」


気のあるフリをして約束は先延ばし。 これは水商売の基本だ。


グラスに氷を足してマドラーでかき回す。

氷が溶けてグラスにぶつかる音が心地よく耳に響く。


腕時計を見るとタイムスタートから50分がたっていた。

残り10分、そろそろ仕上げに入る頃合だ。


私はテーブルの上に頬杖をついて上目遣いに田中を見上げた。


「ねぇ、あたし寂しがり屋だからさ、た~ちゃんにまたすぐ逢いたくなっちゃいそぉだょ。

こういう風に言っても営業とか思われちゃうのかもしれないけど…」

身体をS字にくねらせて田中に寄り添った。


次回の同伴の約束くらいは取り付けておきたかった。


今の私は「東京から仙台に越してきたばかりで寂しい」という設定が最大の売りだ。


客に『今がチャンス』、『このチャンスを逃すのはもったいない』と思わせればいい。


「ちょっとちょっと! どこまで本気にしていいのよ?」

田中が嬉しそうにグラスをあけた。


「全部!」

私は答えながら『全部嘘』と心の中で舌を出す。


ちょうどその時

高梨が田中の背後に立ち「まりもさん、ちょっと」とコールを入れた。


せっかくいいところだったのにタイミング悪く抜かれたなと思う。


高梨は客席から見えない場所に私を連れていき

「まりも、テーブルに肘つくなよ。 姿勢も悪いし。 もっとキチっとして」

と厳しい口調で言った。


私はまたマニュアルかよ!と思い

「一番可愛く見える仕草で客に勝負かけてる最中だったんですけど…」

と不貞腐れて言った。


「ダメだ。 そういう小手先の勝負はいらないよ。 

いいかい、まりも、ボディコンの日はとくに姿勢は大切なんだよ。

露出の高い衣装だからこそ、だらしなく見えたらダメなんだ。 

毅然としたセクシーを装って、客に絶対に触らせない雰囲気を出しておくこと。

女の武器は安売りするものじゃない。 

他のホステス達の手前もあるんだから姿勢には気をつけて!」


高梨は私の返事を待たずに

「すぐに戻って」と言い残し他のテーブルのチェックを受けに行った。


私は憮然とする。

「性的魅力」と「期待感」を客に植え付ける演出に

クレームを出されるのには納得がいかなかった。


私は最初からずっと綺麗な姿勢で接客していたはずだ。

チェックの入る数分前、あえてギャップをつけるために姿勢を崩しスキを作っていたのだ。


もちろん高梨が言うように、女の武器は安売りするものではないと私も思う。

けれど、ホステスたるもの女の武器は最大限有効利用するべきだ。


営業の仕方くらい現場のホステスにまかせてくれればいいのに。

客がリピートさえすれば、私にとっても店にとっても利害は一致するのだから。


正直『黙ってみておきなさいよ』と言ってやりたかった。


私は田中の席に戻り、肩を落として項垂れた。


「どうしたんだよ?」田中が尋ねた。


「怒られちゃった。 なんかね、姿勢が悪いのと、テーブルに肘をついてたので。

あたしってやっぱりホステスに向かないのかも。 自信なくなっちゃうなぁ~」


私は今おこったことを即座に武器にする。


「大丈夫だよ! そんなのは慣れだって。 元気だせ」


「ありがとぉ。 ほんと、た~ちゃんって優しい…」

今にも泣き出しそうな表情で言った。


「しょうがねぇなぁ、明日は仕事で同伴は無理だけど、仕事終わったら顔出すよ。

なんかおまえのこと心配だしやぁ~」


「まじで? うれしぃよぉ!」

私は満面の笑みで両手の指を組んだ。


チェックが入り

エレベーターの前まで田中を送り出す。


「今日は本当にどぉもありがと。 明日無理しないでいいからね? 」

私は心にもないことを言う。


「大丈夫、ちゃんと顔出すよ」

田中は機嫌良さそうにエレベーターに乗り込んで手を振った。


エレベーターの扉が閉まると

『よぉ~し! 出だしは好調! サンキュー おでぶ♪』

と心の中でお礼を言い、小さくガッツポーズをした。


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メールには「名前」「電話番号」「メールアドレス」「人数」「HNがあるならHN」を明記してね。

二次会は始発までカラオケBOXで飲み放題、会費3000円です。

先行してmixiのらぶどろっぷコミュニティで募集をかけたところ、すでに15人以上が決定してます。

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一応2月3日まで受付ますが人数次第では途中で締め切ることもありえます。

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オフ会に参加希望でmixiに入会されていない人は「mixi入会希望」と書いてくれれば

まりもがご招待します! mixiには入りたくないという人はメールのみの連絡でもOKです。

というわけで、2月10日、皆さんにお逢いできるのを楽しみにしています☆


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