第197話 レッスン
私がAV女優になってから
およそ1年の月日が流れようとしている。
私は21歳に
ユウは19歳になった。
専門学校を自主退学したユウは
平日は毎日、池袋にある大原簿記に通い
精力的に勉強に取り組んでいる。
家にいる間も
教科書を開いている時間が多くて
ユウの勉強に対する姿勢は本物なのだと
私は心から安心していられた。
あの日、私達が使用したドラッグは
LSDだということがわかった。
あの後、私は
ドラッグに関する本を3冊買い込み
一晩で読破した。
ユウは
「二度とアレはやりたくない!」
と断固として言い張った。
ドラッグに対する興味は尽きなかったが
私はユウの意見に同調して
今は寝る前のチョコだけといった生活を続けている。
ある日の晩
自分のグラビアが掲載されたエロ本をめくりながら
私は溜息をついた。
「ハァ・・・ やっぱ潮時だなぁ・・・」
「んー? どうしたの?」
ユウは簿記のテキストから目をあげる。
「最近さぁ・・・
グラビアのページがどんどん後ろにまわされていくんだよね。
勢いある新人が次から次と出てくるし。
テレビに出てるから仕事は途切れないけど
やっぱ、扱い変わってきたなぁ・・・。
1年もこの業界にいるとさぁ、塔のたったAV女優ってかんじなのかなぁ?」
「そう? まりもは今が人気絶頂なんじゃないの?
町歩いててもたくさんの人に声かけられるじゃないか。
ギルガメ出てるから、知名度は抜群だろ?
たしかに回転早い世界なんだろうけど、気にすることないと思うよ。」
「・・・うん。 でもなんだかねぇ・・・。
昔はグラビアなんてニコニコ笑ってりゃ良かったのにさぁ
最近じゃカメラマンが際どいポーズぱっか要求するのよ。
喘いでる表情ください、目つぶってのけぞってください
なーんて言われるのよぉー? バカにしてるでしょ?
あきらかに、グラビアの中でも抜きネタ化されてきてる!
このままじゃ、エグイ仕事しかまわってこなくなりそーよ!」
そういう先輩AV嬢達を大勢知っている私は
我が身に迫る『落ち目の恐怖』をヒシヒシと肌で感じ始めている。
「そうは言ったって、まりもはNG多いから
縄で縛られたり、バイブつっこまれたりって仕事がくるわけでもないし。
気にするなよ。 嫌な仕事なら断ればいいだけの話だろ?」
「そりゃそうだけどさ・・・。
ストリップの話、そろそろ具体的にしよっと・・・。
・・・ガッツリ貯金してやるぅーーー!!!」
私はやや落ち込みながら
いよいよ決意を固めた。
翌日
さっそくジイヤに話をして
私のストリップデビューは
一ヵ月後のDX歌舞伎劇場に決まった。
2日間のレッスン日。
Tシャツにスパッツといった格好で
新大久保にあるバレエスタジオに向かった。
スタジオの扉を開けると
黒のレオタードを着た中年のおじさんが
どこからともなく、ぬっと現れた。
「あっ、 まりもです。 よろしくお願いします。」
私は先生と思われるおじさんに挨拶をする。
「は~ぃ♪ あら! こまっちゃぐれててかわいらしぃ~子ねぇ。
トランジスタグラマーってかんじ? あはっ!
トランジスタグラマ~って今でも言う? 死語? あはっ!」
独特のテンションに
私はおもわず尻込みする。
おじさんは大柄なくせに
話し方、仕草が
あきらかに『お姉系』である。
トランジスタグラマーの意味はかろうじて理解できたが
こまっちゃぐれてて、とは一体どういう意味なのだろうか。
どこかの方言なのだろうか。
私は考えながら、先生の次の言葉を待つ。
「写真で見るより小さいのねー。
顔がちっちゃいからだわね。
宣材見せてもらってね、イメージわかってたから
もう選曲してきたのよ♪ 聞いてみてちょうだい。 あはっ!」
語尾にいちいち『あはっ!』
とつけるこのおじさんは
「大山です♪」とご機嫌な自己紹介をした。
あまりに濃いキャラで
ついでに髭も濃いのだが
悪い人ではなさそうだ。
大山先生は
ラジカセにテープを入れて再生ボタンを押す。
「カチっ」とテープが回る音がして
曲が流れ始める。
流れ始めた曲を聴いて
私は唖然とし、口を大きく開いた。
「えっ?
・・・あの、 先生・・・
これって・・・
何かの間違いじゃないですよね?」
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今回コメント返信お休みさせてくださぃ。頑張って本文更新していくので許してね☆
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