この店で頑張る

懐かしさと至福の味

商店街の古びた定食屋を営むのは

70代と30代の女ふたり

この店は、きっとあなたの居場所になる

 

三上沙也加(サヤカ)は派遣会社に登録して働いている。

夫は離婚届を置いて出て行った「一緒に暮らしている相手からさげすまれながら生きるのは、うんざり」と言い残して。夫の楽しみは、たまに定食屋へ行きお酒を飲むことだった。沙也加は、街の下卑た定食屋で飲むことが夫の楽しみなんて信じられないし、許せなかった。きちんとした料理を作っている自負があったし。

 

沙也加は、その定食屋「雑(ザツ)」へ偵察に行き、背が低くて横幅のある老女「ぞうさん」が店主だと知る。ある日、「雑」のパート店員募集の張り紙を見て、その場で申込み働くことになる。店で働いているうちに夫の浮気相手が見つかるかもしれない狙いもあったから。

 

「雑」の仕事に、完璧型きちんとさんの沙也加は面食らうばかり、味付けは「すき焼きのたれ」と「めんつゆ」と「普通の醤油」だった!

もとの店名が『雑色(ゾウシキ)』だったことから店主が「ぞうさん」と呼ばれ、今の店名「雑(ザツ)」には雑な店の意味もあるらしい。

 

「雑」の日替わり定食は肉か魚、時々コロッケ、トンカツ、から揚げ、ハムカツ、カレー、握り飯があり、どれも安さと早さが売りのメニューだが、「ぞうさん」の工夫とこだわりがつまった逸品ばかりで常連さん達に大人気。

 

やがてコロナ禍がきて、店じまいすることになる。「ぞうさん」は年々体力の衰えと節々の痛みや気力の低下に悩んでいた。もう、引退したい…

が、沙也加とともに弁当屋として再スタートする!

 

それぞれ困難さを抱えながら、年齢も経歴も違う二人が、支え合い励まし合い過ごしていきます。明るい未来を予想させる結末に胸をなでおろし、ほわんとしたあたたかさを感じました。